[ 内容 ]
二一世紀の経済で中心的な役割を果たすとされながら、高度な数学や難解な用語が飛びかい、多くの読者がとまどって敬遠している金融工学。
本書は、予備知識がゼロでも理解できるよう、数式を用いず、多くのエピソードをまじえながら、「やさしく」「面白く」要点を説き明かす。
先端金融技術の後進国・日本は、欧米金融機関の草刈り場と言われる。
ビジネスマンなら避けて通れぬハイテク金融のポイントを楽しく学べる、画期的な入門書。
[ 目次 ]
第1章 金融工学で金持ちになれるか?
第2章 金融工学のテーマは「リスク」
第3章 分散投資の原理
第4章 「ベータ」投資理論
第5章 先物取引
第6章 オプション
第7章 未来を拓く社会的技術
[ 問題提起 ]
この分野はわが国ではどうやらかなり立ち後れているらしいですが、本書は格好の入門書です。
[ 結論 ]
まず金融工学は株価の推移を予測して金儲けをする分野ではないことが強調されています。
確かにノーベル経済学賞を受賞した人が関わるヘッジファンドのLTCMが破綻したりするくらいですから、錬金術のようなものではないことがわかります。
そのヘッジファンドは確率過程論や確率微分方程式などの高度な数学を駆使してお金儲けをしているというのも誤解だそうで、1990年代にはこの種の問題は初等数学だけで扱えるようになったとのことです。
本書ではその実例が示されています。
でも、それでも数式を追うのは面倒くさくはあります。
では、金融工学とは何をやっているのかというと、リスクをいかに捉え、いかに対処するかというリスク管理の手法を研究しているのだそうです。
リスク管理ということなら、これはもうめちゃくちゃ大事なことですが、確かにわが国ではむしろこのことに対する無理解が社会の隅々に行き渡っているように思います。
専門的に勉強するのはなかなか骨の折れそうな分野ですが、わが国でも今後優秀な頭脳がこの分野に集まってくることを期待したいです。
[ コメント ]
実際、私も多少かじってみようかという気もしているのですが、標準偏差でどうして数値を二乗するのかという点でつまずいているくらいですから、数学から勉強しなければなりません。
[ 読了した日 ]
2009年8月12日