【乱読NO.2184】「数学は世界を解明できるか カオスと予定調和」丹羽敏夫(著)(中公新書) | D.GRAY-MANの趣味ブログ

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[ 内容 ]
天動説は数理モデルを構成して数学的に天体運動を説明する試みである。
ガリレイは地上運動にも数理構造があることを示し、ニュートンはそれらを土台に近代的力学を創った。
数学の発展がそれを可能にした。
現象の基礎にある法則とその数学的表現である微分方程式が示すのは単純さと美しさをもつ予定調和的世界である。
しかし、コンピュータの出現は自然の内包する複雑さを明るみに出した―。
現代科学思考の到達点を平易に叙述。

[ 目次 ]
1 未来を予測する―科学の始まり
2 システムとモデル化
3 単純な法則と美しい現象
4 複雑さこそ単純さの源
5 揺らぎから生じる新しい制度
6 生態学モデル
7 単純さから生じる複雑さ、カオス
8 日はまた昇る?

[ 問題提起 ]
物理、数学について記した書物で、「数式は極力使わないようにした。」との記述をよく目にする。

物理、数学といった学問分野が数式抜きに語るのが難しい分野であることは言うまでもないことであるから、このような一文があるとそれだけで「そんな本は読まない。」とおっしゃる方も多いことと思う。

この本も巻頭にて「数式は使わない」と断言するが、是非敬遠することなく御一読いただきたい。

[ 結論 ]
”ラプラスの魔”潜む世界にカオス理論がいかに対抗するか、著者は積極的に記述しようとしている。

また、本書は8章からなるが、章ごとに「この章のまとめ」として、章の要約が付記されており、内容への理解を補している。

[ コメント ]
「数学から離れて久しいがカオス理論のエッセンスをつかみたい・・・!」といった方や、「これからカオスについて学びたい。」と考えておられるカオス理論初学者の方などにも有用な一冊ではないだろうか。

[ 読了した日 ]
2009年3月22日