【乱読NO.1219】「数学する精神 正しさの創造、美しさの発見」加藤文元(著)(中公新書) | D.GRAY-MANの趣味ブログ

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[ 内容 ]
数学における「正しさ」とは何だろうか。
数学の公式や証明と言えば絶対的に正しいもので、揺るぎない「神の知」だと思ってい
る人も少なくないだろう。
しかし数学を創ったのは紛れもなく人間であり、そうである以上、究極的には仮説的で暫定的であることを免れ得ない。
ならば、多くの人が信じる「真の正しさ」や「美しさ」とは、数学という営みにおいてどんな意味を持つのか。
拡がり続ける豊饒な数学の世界への招待。

[ 目次 ]
第1部 人間と数学
第1章 計算できる記号
第2章 ウサギとカメ
第3章 ビールのパラドックス
第4章 コンピュータと人間
間奏曲:数学の美しさ
第2部 記号と意味
第5章 組み合わせの数
第6章 パスカルの半平面
第7章 ドッペルゲンガー

[ 問題提起 ]
タイトル通り、数学についての本なのですが、紹介が非常にむずかしい本です。

[ 結論 ]
まず、この本は最近よく見かける「数学再入門」的な本ではありません。

高校レベルの数学がわかっていない人にはレベル的にむずかしいと思いますし、現実社会とリンクさせているような部分もほとんどありません。

また、数学の歴史に関する記述も多いですが、数学の歴史を描いているわけではありません。

さらに数学エッセイというふうに分類するには、内容が固いですし、数式もけっこう登場します。

著者が「はじめに」で書いているように、強いていえばこの本は「『数学そのもの』についての本」ということになると思います。

内容としては、二項展開とセノンのパラドックスに見られる実数の不思議、パスカルの三角形に組み合わせ(コンビネーション)、これらの4つの不思議な繋がりと、そこから広がって行く数を巡るさらに不思議な関係、といったことが語られており、それを通じて数学の「美しさ」や「正しさ」を考えさせるような構成になっています。

[ コメント ]
学生時代は理系で、高校レベルの数学を履修した身としては、だいたいついては行けましたが、最後の10進展開と10進距離には「?」の部分もありました。

ということで、この本の面白さは読む人の数学のレベルに左右されそうです。

[ 読了した日 ]
2008年12月14日