建築物や遺跡などの文化財が、世界文化遺産に登録されるには、ユネスコの世界遺産保護条約に従って、「顕著な普遍的価値」があると認められなければならない。 この「価値」を裏付ける考え方の一つが、オーセンティシティ(Authenticity)。「真正性」「真実性」などと訳される。文化財が、デザインや材料などで最初につくられた時の価値を維持しているかどうかを問う考え方だ。
設立当初の基準はとても厳格であったが、石造建造物ばかりじゃないことが考慮に入れられ、評価基準が見直されたらしい。
特に木造建築などについては、改造や消失などの経緯をどう捉えるかで評価は今でも分かれているとのこと。
これよりも一般的な言葉にオリジナルと言う言葉があり、ほぼカタカナ語化している。
保存や再生などの対象に対して、コピーまたは複製されていないか、改変は無いかと言う議論に良く使われる。
建造物に限ったことではないが、そのもの自体の起源(オリジン)が問われる。
一方、「テセウスの船」のパラドックスのように全てが置き換えられたとしても、
それ自体のアイデンティティは保たれる場合もあるはずである。
伊勢神宮の式年遷宮などは、いい例かもしれない。
さらに困ったことに、建造物や遺跡などにおいては、時代を遡ればさらに古い遺跡などが埋蔵されている可能性が高い。レイヤーのように重なり存在する「どれの」「なにに」照準を絞るのか?最も古いものが良いとされるならば?一体どこまで遡れば良いのか?
歴史が発見されるのと同じように、起源もまた発見されるということか。