タイトルの本は1985年に出版されたスヴェトラーナ・アレクシェーヴィチの著作による作品です。
1978年から500名以上の独ソ戦に従軍した女性に取材した生の言葉を集めたものです。
著者自身の言葉は少なく、大半は取材に応じた元女性兵士達の証言で構成されています。
取材当時はまだソ連当局の検閲があった時代なので出版はペレストロイカ後になりました。
序章の段階でかなりショッキングなエピソードが紹介されていました。
元パルチザン兵士の女性が少年兵2名と偵察に出た折り、4名のドイツ兵を捕虜にすることになり3日間寝食を共にしたそうです。その後ドイツ軍に包囲され突破するのに邪魔な捕虜を殺すことを決断。情が移った少年たちには無理と判断した彼女が1人づつ連れ出しては処刑したという話。無抵抗な捕虜を処刑するという戦争犯罪を取材に応じて語る心理状態に驚きました。
しかし著者はこのエピソードの後で「おそらく作り話」と結んでいました。
戦後30年を経て語られる証言は真実とは限らない。ただでさえ女性兵士(特に戦闘部隊にいた人達)は戦中にヒロインとしてプロパガンダに大いに利用され、戦後は“人殺しの女達”とさげすまれて過去を隠していた人が多かったから、取材するのも大変だったと思います。それに故意に誇張した作り話にならなくても、人の記憶は自分にとって都合の良い内容に書き換えられていく事も多く、その証言の真偽は著者自身によって判断するしかなかったのですから、それはそれは大変なご苦労があったんだと思います。
今、わたしはこの作品をAmazonのオーディブル(朗読)で聴いております。
証言内容はその多くが戦時中の前線での日常的なもの、また女性だからか看護兵や医師の証言が多く負傷兵や戦死した兵士をケアした辛い経験が切々と語られています。
取材当時は当然当局の厳しい検閲にさらされていました。
「女性兵士が活躍した事こそが真実である、辛気臭いエピソードはご法度だ!」と削除を言い渡された部分が大量にあったそうです。だから1985年まで出版ができませんでした。
何気ない日常的な証言の中に時折ドキッとするような証言もありました。
女性兵士A
「わたしは機関銃手でした。どれだけ大勢殺したことか・・。」
「戦後、子供を産むのが怖かった。」
女性兵士B
「わたしは高射砲兵としてたくさんの人を殺しました。」
「殺した相手の顔は知らないのに夢に大勢現れるのです。」
「そんな人達に重傷なら助かって!と願ったけれど、みんな死んだんです。」
フィクションではないリアルな話だからほんの数行の文章でも迫力を感じました。
村上麻衣さんの朗読も素晴らしく残り3分の2、どんなエピソードが語られるのか楽しみです。