FX投資の世界で今やトルコリラ/円のペアは死語になっていると思います。

トルコリラ/円ペアが取り扱われるようになったの2014年頃で、1リラが45円前後でした。各FX会社もこぞってこの通貨ペアを推奨しました。 金利が高くスワップポイントという金利が毎日加算されて週1回口座に入って来る仕組み。

かつてのトルコリラは180円位の頃もあったから、45円が底値と感じるのも無理はありません。当時はこの高金利の新興国通貨の買いがもてはやされ、退職金を全額つぎ込んだリタイア組が相当いたらしい。そしてその後このペアは底なしの下落を開始する事に・・。

現在2025年時点でのトルコリラ/円は3.64円というレートです。この通貨ペアに賭けて破産した人が大勢いるとは聞いていましたが実例がネット記事で出ていました。興味深かったので読んでみると察するに余りある地獄に転落した方の人生が書かれていました。長年勤めてきた会社を60歳で退職して2000万円を受け取ったとのこと。さてこの額、老後を支えるにはいささか心もとない金額です。そこで年金が出る65歳までパートを始めたAさん。飲み屋で仲間内からの助言でトルコリラ円の事を知り、高金利で底値。今買えば金利だけで年200万円(当時の金利年10%)になり、持っているだけで金利で儲かりその内レートがどんどん上がって行けば利益が増える一方と確信していたようです。実はこの方が買った頃は最初のブームが終了して、かなり下がった頃の1トルコリラ14円の頃。底値と言われた45円から31円も下がったのだからこれ以上は下がらないと証券屋も太鼓判を押した。

この方にとって不運だったのは買った直後に一旦上昇した事。2000万円全額を投入していたから、数円上昇しただけで利益が数百万円に達したそうです。これは正にビギナーズラックで、この段階で一旦利食い(ポジションを閉じる)選択をしていれば良かった。ところが人間とは欲深いものでそのまま持ちっぱなしだったAさん。その後はレートは下がる一方で前述の通り現在3円台半ば。証券屋は分散投資しなかったから・・、などと言っていたそうですが、素人に分散投資など難しいから止めといた方が無難。

それより利益が出た時点でストップロス(損切注文)をなぜ入れておかなかったのか。それが大きな敗因です。

レートが上がっている時もストップロスラインをどんどん上げながら下がったところで利益確定を繰り返すのが常套手段なのです。

この方は逆だったからここまで損失が膨らみ、恐らく現在は含み損が1500万円になっている事でしょう。

Aさんは損切りせずにこのまま持ち続けているようです。通貨なのでゼロにはならないでしょうから、この後14円まで戻ればやれやれ売りで一旦脱出可能。ここまでスワップ金利は儲けになっている事でしょうから、まだ負け確定ではありません。

さてどうなる事やらAさんの人生。

相場の世界は本当にコワいのです。

トルコリラやメキシコペソや南アフリカランドなんて絶対に手を出してはいけない通貨ペアなのです。