先日あるイベントでお知り合いになったプロの管楽器奏者の方がSNSで辛い現状を書かれていました。コロナ禍で仕事が無いので、仕方なく副業で警備の仕事をされていたようです。本当に辛い状態だと思います。そもそもこの日本では芸術に対して対価を払う考え方が希薄なのです。だから某病院のロビーコンサートのボランティア出演者募集に“プロに限る”なんて但し書きを平気で書く訳です。こんな募集は私達アマ奏者でもお断りです。昔モスクワフィルの首席オーボエ奏者の方と知り合いになった事がありました。(現在は疎遠に)彼はロシアで食べていくのが大変なので、日本のフルート奏者の方と結婚して来日。今は日本で音楽活動をしていますが、奥様のご実家がとても裕福なんだそうです。しっかりとした後ろ盾がなければ、世界に通用する奏者でも生活していくのは大変なんだと思います。十数年前に鬼怒川の某ホテルの夕食バイキングの会場でポーランドのバイオリン奏者が見事な演奏を披露していました。宿泊客は食事に忙しく真剣に聴いていたのは私くらいでした。(演奏が終わっても私以外誰も拍手しませんでした)演奏後英語でインタビューしてみましたが、仕方がないと仰っていました。東欧の奏者は実力があっても食べていくのがやっとなんだと実感しました。そんな中このなコロナ禍でメトロポリタンオーケストラは当分休止状態に追い込まれてプレーヤーの方達は路上での演奏を始めたらしいのです。そういえばウィーンフィルの来日公演が成功したというのが大々的に報じられていました。世界のトップクラスのオーケストラでもツアー公演を行うのが本当に大変なんだということがひしひしと伝わってきました。私達アマチュア奏者はと言えば、3密防止で演奏会が中止になったり、練習会場が使用できなかったりとストレスの多い状態が継続していますが、それでも本職のプレーヤーに比べればまだ気楽なんだと思います。プロの奏者であれば錬度を保つために毎日練習をしなければならないはずで、それでは生活できないから、副業に時間を割かなければならないのです。家族の為に奮闘しておられる前述の管楽器奏者の方を私は陰ながら応援したい気持ちでいっぱいです。