先日、仕事中にラジオを聞いていました。するとある音楽番組のゲストで日本の某ホルン奏者の方が出演していました。その方は知らない方なのですが、番組中にナチュラルホルンの演奏が聴けたのは良かった。今まで、ロータリーやピストンの無いナチュラルホルンのメカニズムが良く解らず謎でした。このナチュラルホルンは管を巻いただけのものですので、私は信号ラッパやビューグルと同じメカニズムだと思っていました。そうするとドミソドのように限られた音しか出せないものだと思っていました。ところが、この方の実演では例えば、レやファや半音など様々な音が出せているので驚きました。この音程の調整は朝顔に突っ込んだ右手で行うのだそうです。なるほど、信号ラッパのように唇の加減で音程を変えて演奏するのなら音を外す事はなさそうですが、右手の突っ込み具合で音程を変えていくというのはかなり難しそうです。そして、この方のナチュラルホルンの演奏を聴いていると、なるほどかなり苦労して音を出しているのがよく分かりました。右手の具合で半音も出せますが、やや音が上ずってしまったり、震えてしまったりと、普通のフレンチホルンの何倍も難しそうです。普通ならロータリーバルブがないと演奏などできません。実は、亡くなった父が持っていたLPレコードでモーツァルトのホルン協奏曲集があります。ホルンの演奏はかのドイツの名ホルン奏者のヘルマン・バウマン先生です。このレコードに収録されているホルンコンチェルトはバウマン先生がナチュラルホルンで演奏しています。実に自然で美しい音です。前述の日本の奏者の方の演奏とは比較になりません。ヘルマン・バウマン先生は名実ともに世界最高のホルン奏者です。この事をあらためて実感しました。実は私の旅団でのドイツネームの“バウマン”はヘルマン・バウマン先生のお名前から頂戴したものなのです。