今日は4連休の最終日です。国からの給付金もやっと振り込まれました。ところで、この連休中は娘と「山猫は眠らない」というスナイパー映画のシリーズをレンタルDVDで観ました。べレンジャー扮するベケット上級曹長の活躍ぶりとクールさがたまらなくカッコいいという娘。最近YouTubeでも有名なスナイパーを漫画風に解説した10分程の動画がアップされています。娘も見た動画で、ロシアの女性スナイパーパブリチェンコの動画を私も見ました。世界的に有名な彼女の活躍ぶりが詳しく語られていて、漫画とナレーションが中々面白かったのですが、いささか気になる事もありました。彼女の戦果は309名のドイツ兵を射殺、内36名が狙撃兵でその中には500名以上のスコアを持つ有名なスナイパーもいた、というのです。確かドイツ軍の最多スコアを持つスナイパーはヘッツェネウアーで345名。500名以上のスコアを持つスナイパーはフィンランドのヘイへしか知りません。なるほど劇画タッチの動画もかなり盛られていたという事でした。私はパブリチェンコの309名射殺というスコアがあまりにも短期間で達成された事に疑問を感じていました。オデッサ防衛戦で彼女はわずか2ヶ月の間に187名射殺とされています。彼女の戦術は敵の背後およそ800mの距離からわざと急所を外して1名を倒し、救護に駆け寄った兵士を次々と仕留めていったというもの。当時の7.62mm口径の銃では風などの環境条件が影響するので、これ程の距離で的中させるのは至難の業だったと思われます。自衛隊出身の友人の話では狙撃訓練では260m先の標的を狙うとの事。静止している的に当てるだけでも大変だったと言っていました。この3倍以上の距離でしかも動いている相手の急所を外してのヒットというのはあまりにも非現実的な気がします。そう言えば、最近娘と見たゴールデンカムイというアニメの中で尾形上等兵という凄腕スナイパーが登場します。彼は300m以内の相手なら確実に撃ち抜くという設定になっていてかなりリアルです。なるほど、前述の元自衛官の友人の話と合致しています。300mを超えると難易度は格段に上がるということらしいのです。そこで興味を持っていろいろとネットサーフィンしてみました。するとロシア語のサイトでとても興味深いものを発見しました。内容は第二次大戦の生き残りのロシア人女性狙撃兵に欧米のメディアがインタビューしたものでした。彼女の名前はクラウディア・カルギナです。彼女のスコアは257名のドイツ兵を射殺となっています。しかも1944年当時彼女はわずかに17歳でした。そしてインタビューの中で彼女が正直に答えています。初めて前線に出た時の葛藤。塹壕戦では間近の敵を倒すチャンスは何度もあったのに、引き金を引けなかったというのです。17歳の少女なら当然の事なのかもしれません。そして最初のドイツ兵を射殺した時には、相手の家族の事を想像してしまったそうです。殺した相手の事を生涯背負っていくというあたりは映画“山猫・・”でも描かれていました。そして、インタビュアーの「何人のドイツ兵を殺しましたか?」という質問に対して彼女は「よく覚えていません。」と答えています。確かに彼女は大勢のドイツ兵を射殺したのですが、その人数はどうでもよく、とにかく生き残る事がもっとも重要だったと語っています。射撃は1発のみで、2発目は死のリスクが増大するとのこと。端的に言えば狙撃は1日1発なのだと彼女は答えています。映画のように敵兵を次々と仕留めていくというのはかなり非現実的だったのでしょう。更に200m~300mの距離で敵を撃つと相手が死んだのかどうかは判別できず、負傷したのか、単にのけぞっただけなのか分からなかったとのこと。とにかく相手が倒れたらスコア1としてメモして上官に渡していたという事です。このあたりは戦場では有りがちな事で、かなり現実的な話なのでしょう。ロシアのスナイパーのスコアは最高で700名以上、パブリチェンコもかすむスコアですがこれらの超人的な戦果はソ連指導部によるかなりの水増しだったというのが定説になっています。ロシア人と結婚して21年。確かに、ロシア人の国民性として虚栄心が強く、自分に都合の良いウソを平気でつくという所はあります。実のところ、スナイパーというのは殺した相手の数ではなく、いかに生き残るかという事の方が重要だったんだと思います。