毎日高値をどんどん更新するドル円相場。テクニカル的には長期週足で形成されてきた弱気ダイヴァージェンスを見れば107円台が限界だと思われる。だが殆ど調整も無く上昇を続ける相場は勢いで110円まで上げ続ける可能性もある。そんな中で政府の要人から円安を歓迎する発言が度々報道されている。さすがに麻生さんは“急激なレートの変動は如何なものか?”という趣旨のことを言っているがこれは当たり前。ところが過度な円安への懸念発言はそのくらいで、あとは日本経済にとって大きくプラスになると断言している。わたしがなぜ違和感を感じるのかと言えば、数ヶ月前に102円前後で推移していた時に、日銀の名古屋支店長から過度な円安は明らかにマイナスだから現在の水準が望ましいという発言があった。経済界もこの意見には同調的だったから100円割れは困るが、これ以上の円安は望まないというのがコンセンサスかと思っていた。だから、ここにきて更なる円安を誘導するような発言を連発しているのが理解できない。例えばガソリン価格、原油価格がこれだけ下がっているのに店頭価格は逆に値上がりしている。円安の弊害はすでに身近に感じられるのだ。1ドル150円の時代から見ればまだまだ円高という乱暴なご意見はご容赦願いたい。下がり続ける日米の購買力平価から見れば実勢相場は1ドル99円辺りが適当な水準だ。だから日本経済にとっても国民にとっても明らかにマイナス要素の多い現在の急激な円安進行は悪い円安の序章なのかもしれない。