ジョン・ウー監督の戦争映画”ウインドトーカーズ”は日本兵が簡単に殺されるので少し批判を浴びたが、監督は歴史映画というよりはアクション娯楽として楽しんで欲しいとコメント。映画での荒唐無稽な描写は昨日の抗日ドラマでも満載だったが、このドラマでたびたび登場する戦闘シーンで谷間に差し掛かった日本軍のトラック部隊が共産ゲリラに襲撃されて全滅するシーンがある。さすがに女戦士が弓矢に小型ダイナマイトをくくりつけて打ち込み100名以上を吹き飛ばすのはやりすぎとしても、ある元日本兵の証言が思い浮かぶ。当時中国に派遣された彼は渓谷で焼けただれたトラック十数台を見て連戦連勝だったから味方の大戦果だと思った。所がそれは日本軍の残骸だったと聞かされて驚愕する。”エライところに来てしまった”。実はドラマで描かれていたような光景は現実的だったのだ。当時の日本では兵隊は消耗品扱い、捕虜になるよりは死んで来いを強要されていた。太平洋戦争の実話を描いたザ・パシフィックでアメリカ兵のこんな台詞がある。”アイツは英雄だ、ジャップを山のように殺したんだ”だが、彼らは真実を解っていない。大戦末期に繰り返されたバンザイ突撃は敵を倒すためでなく潔く死ぬための集団自殺だった。死ぬ事を目的に突撃してくる相手を何人殺そうが自慢にもならないしそれは本当の英雄ではない。それを思うと映画のやりすぎ描写も決して大袈裟ではなくなってくるので悲しくなる。