チャレンジ(3-34)
2月19日(月)
夢見しもそこはかとなき朧かな
人類の歴史―7
小規模血縁集団は狩猟採集という人類の社会的発展段階の始めのころの基本的ありようだった。これよりさらに前の段階があったのかはわからないが、在ったとすれば狩猟採集が可能な年代に達すれば、一人で孤独に暮らして集団から離れてゆくことが考えられる。小規模血縁集団はチンパンジー、ゴリラなどの行っている自然の形態だが、それより前の一匹狼的な生活があったかは分からない。小規模血縁集団とは現代的には大家族主義のようなものだったのだろうか。ニューギニア、オーストラリアで狩猟採集を主たる生活として現代までこれを続けている部族がある。
定住せずに移動しながらの生活では小規模の集団とならざるを得ないということも自然の事であろう。
文化人類学では
小規模集団
部族社会
首長社会
国家
といったぐあいに社会が発展すると説くことは前に述べた。部族社会では集団の人数規模は数百人、首長社会では数千人、国家では5万人以上を想定している。そして部族社会以降は定住生活となる。
「銃・病原菌・鉄(ジャレド・ダイアモンド著、草思社文庫、2012年)」では
狩猟採集生活と定住生活の違いに重点を置いて説明される。現在の地球の民は家で暮らすのが普通であるが、このごく当たり前のこのことは長い歴史を経て獲得されたものなのだ。現生人類ホモサピエンスの発生が20万年前だとすると大まかには19万年前までは家など持たぬ生活だった。