産業医(90) | シンクロニシティ

産業医(90)

 

1月25日(木)

  人日の日もて終わりし昭和かな(稲畑汀子)

 

健康相談―8

 健康診断は健康維持、増進に役に立っているのだろうか。健康診断を受ける人と受けない人で健康上の差が生ずるものであろうか。

 自分は日本が特殊であるといわれようと、官民挙げての健康意識の昴揚は健康維持、高齢化社会の推進に役立っていると思っている。その一環の勤労者に対する定期健康診断も日本人の健康維持、増進に寄与しているとおもっている。

しかし健康診断などを義務付けていなくとも、人は十分に健康に過ごしていることは確かだ。またドイツのように個人情報の保護の観点から集団的な健康診断をおこなわないところもある。もし健康診断などなくともそれなりに長寿の社会が推進されるのであれば、健康診断は社会として膨大な無駄をおこなっていることになる。

以前に健診項目とその健康リスク予見の妥当性についてグル=プで調べたことがある。自分は心電図について関係する文献を調べた。結論から言うと、健康診断で心電図異常が指摘されたとしても、狭心症、心筋梗塞などがおこるリスクは心電図正常とされたひととかわらなかった。すなわち、心電図異常がみられたからといって、それは直ちに心血管系の病気で健康障害を起こす可能性はないといえた。ただしこれはブルガダ心電図が報告される以前の研究である。