前回、運動エネルギーから考えるとバットの先側の方が速度が高いので、アウトコースを打った方時の方が運動エネルギーが大きくなり有利というお話しをしましたが、実際にはピッチャーはアウトコース低めを狙って投球してきます。

 

これはやはり「打者から見て一番遠い球であるアウトコース低めは打たれにくい」という経験則から来るものと思われます。

 

実際に元プロ野球のピッチャーの方からもこの話を聞いたのですが、その理由はアウトコース低めの球は、バッターの目から一番遠くを通過するので、バットを当てる事が難しいからだという事です。

 

これを物理の目から考えてみようと思います。

 

バットは、右手・左手の両方で握ってスイングします。仮に右バッターの場合ですと、左手がバットのグリップエンド側を握り、右手はその上を握っています。

 

ここで、そのバットを地面と水平になるまで寝かせてきます。そして左手を固定した状態で右手を動かすとどうでしょうか?右手を仮に1㎝動かしてもバットの先端は10cm程動く事になります。しかしその状態でバットの長さの半分の場所であれば5㎝程度の動きになります。

 

つまりバットを操作してボールの芯に向かってバットを当てに行くのですが、バットの先端側になればなるほど、少しの手の動作での変位量が大きいために、より正確にバットを操作しなければ芯に当てられないという事です。

 

インコースであれば、右手の位置が1mm狂ってもそこそこボールに当たるのかもしれませんが、アウトコースであれば1mmの違いで空振りするかもしれません。

 

この事はボールの位置を把握する目の能力にも同様の事が言えると思います。遠いものより近いものを見た時の方が、その位置認識の精度は上がっているのでは無いでしょうか?

 

しかし前にお話しした通り、エネルギーという点ではバットの先側の方がスピードが高く有利です。という事は、アウトコース低めの遠い球に正確にバットを当てる技術を身に付ければ良いのです。

 

バッティング練習の時に、この事を頭に入れながら練習してみればどうでしょうか?

 

自分から遠い球を確実に捉えられる技術を磨いてみて下さい。そうすれば、速い打球を打つ事が出来ます。

 

でも実はこれだけでもダメなのです。。。そのお話しは次回に。