皆さん、生まれて初めて見た映画を覚えていますか。生まれて初めて見たSFX(特殊撮影)映画は何ですか?

僕が初めて見た映画は5歳の時に見た「この世の花」です。たまに旅回りの芝居小屋になるのを兼ねた田舎の映画館でした。島倉千代子が主題歌を歌い、主演が淡路恵子です。かすかな記憶なのですが淡路サンが恋のもつれから、皿を床にたたきつけるシーンがあったような気がします。もちろん意味は全く分からなかったでしょうが。

映画をストーリーとして理解したのは7歳になって見た伏見扇太郎主演の「孫悟空」です。SFXの走りですね。孫悟空が画面の中で縦横無尽に活躍しました。そしそして9歳の時に初めての外国映画「野ばら」を見ました。孤児の少年が親切な老人に助けられ、ウイーン少年合唱団医入団して成長していくという文部省推薦映画でした。そんなに教育熱心とも思えなかった両親がどういうわけか、僕に学校を休ませて映画館に連れて行ってくれました。ところが、学校でも先生が引率して、クラス全員で「野ばら」を見に行くこととなりました。だから僕は2回見たことになります。

小学校低学年の時は東映時代劇が全盛でした。正月には「総天然色、オールスターキャスト」が売り物で、映画館は立ち見がたくさん出て、座るのに苦労しました。品格のある月形龍之介の「水戸黄門」片岡千恵蔵、市川右太衛門の「忠臣蔵」。もちろん中村錦之助、東千代之介はどちらのラインナップにも欠かせません。僕のお気に入りは東映城のお姫様たち。桜町弘子、大川恵子、丘さとみ。特に僕は桜町弘子さんに熱を上げ、小学生時代にファンレターを出したのはこの人だけです。時代劇に混じってこの時代に忘れられないのが、東宝の「地球防衛軍」です。志村喬が科学者の役でした。黒沢映画の志村サンもいいのですが、科学者の志村サンがやけにかっこよかったのを覚えています。小学校高学年は大村文武主演の「月光仮面」がすごい人気でした。映画館のなかは小学生でぎっしり埋まっていました。月光仮面が単車に乗って、悪人のサタンの爪を追跡するシーンでは館内割れんばかりの拍手が起きました。無邪気で幸せな子供時代でした。(敬称略) 続く