河川敷の小道で、一羽のカラスがこさぎの死骸をつついている。

枯草の上にむしり取られた無数の白い羽根が散乱している。

こさぎはあおむけになって、血に染まった胸をさらしている。

近くの木には別のカラスが二羽とまっていて、

こさぎをつつくカラスの様子をじっと窺がっている。

生きるために一つの命が一つの命を奪う。

堤防の斜面には菜の花がたくさん咲いていて、春の風を受けている。

気持ちよさげに、この惨劇に気づきもせずに。

それは、人間の世界とまるで同じようだ。