BSテレ東の知床の自然、様々な生物、そして人間の営みを紹介するドキュメンタリーに感動した。知床はアイヌ語のシリ・エトクに由来する。意味は地の涯て。知床半島は半島の付け根から岬の突端まで約70km。幅は20㎞程度。東側は根室海峡を挟んで国後島まで25km。西側はオホーツク海。2006年に世界自然遺産に登録されている。森と川と海が一体化してさまざまな生き物がこの半島に共存している。陸にはヒグマ、エゾシカ、キタキツネ、海にはマッコウクジラ、シャチ、トド、アザラシ。そして鮭が産卵に帰ってくる。まさに生物多様性の見本のような地域である。流氷が植物性のプランクトンを連れてきて,そこから動物性のプランクトンが発生し魚が集まり哺乳動物が来る。豊かな自然に躍動する生き物たち。

 

そしてこの厳しい自然環境下で入植しようとした人たち。三代にわたって挑戦したが結局、離農せざるを得なかった家族。半島の周りは急峻な崖に取り囲まれている。わずかな平地に番屋を建てて、昆布漁をする人たち。残された広大な開拓農地が不動産業者に買われて乱開発のおそれが生じたことがあるそうだ。それを当時の斜里町長が一口8千円の寄付を募り、買い戻そうとする運動を起こした。イギリスで起きたナショナルトラストと同じ運動だ。その息長い運動で知床の自然が守られた。特に岬の突端に行く陸路が無いというのに感心した。道を作るのが難しかったのかもしれないが、自然のままに道を作らないことが正解と思う。だから突端に行くには相泊というところから3.5kmの距離を船でいくしかない。僕はそのことにも感動した。

 

今ヒグマと人間の共存が問題になっている。観光で来た人だろうか、自分の車から道路の向こう側にいたヒグマにパンを投げ与えて、パトロール中の知床財団の人に大声で制止されるシーンがあった。人間が餌を与えたらその味を覚えてどんどん人間のエリアに入ってくる。野生の動物に面白半分に餌を与える人間はどこにもいるが思慮が足りないなあ。困ったもんだ。斜里町ではかなりの部分電気柵を設置して、ヒグマと人間の境界を分けようとしているが、川など全部に設置するのはむりなのでどうしても人間のエリアに現れるそうだ。1960年代には春クマ駆除事業というのがあって、多くのクマが駆除され、地域によっては絶滅の危機になりそうだった。それで保護に転じたら、今度はクマと人間の境界に苦労するようになった。バランスがむつかしいなあ。それにしても駆除というのは悲しい言葉だなあ。

 

いろいろなことを考えさせ、見応えのあるいい番組だった。こんなことをいうと怒られるかもしれないが、NHKの番組のようだった(笑)