久し振りに書いちゃいました~☆



……が、ネタを思いついたのが七夕当日だったので、ちょっぴり季節外れとなっちゃいましたが………いつものことなので気にしない♪(←)

しかも、かなり突発で書いたので、ネタがかなり薄いです。

それをお許し頂ける方のみ、↓↓↓へどうぞ~。



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今日は七夕…。


夕飯の買い出しに商店街を歩いていると、文房具屋さんの軒先に、大きな笹飾りがしてあった。

どうやら、お店に買い物に来た子供たちが、短冊に願い事を書いて、そこに飾っているらしい。

色とりどりの短冊には、それぞれに固定的な文字で、様々な願い事が記されている。
細長いその短冊は、初夏の風に揺られて、サラサラと心地よい音を立てながら笹の葉と共に揺れていた。


そんな心和む光景に、私は自然と足を止め、風に揺れる短冊に目を遣った。


「今時の小学生って、皆どんな願い事してるのかな…?」



私のその呟きに、隣にいた大和が、ちょうど彼の視線の高さで揺れていた短冊を、そっと1枚手に取った。



「なになに…?『プロ野球選手になれますように』……お!いいじゃん♪」


野球好きの彼は、そこに記された願い事に目を細める。
私も彼に倣って、少し高い位置で揺れていた短冊を、ちょっと失敬して見せて貰った。



「えっと…こっちは『算数のテストで100点がとれますように』か…。あ~分かるな~。私も算数苦手だったもん」

「何だよ、ぶう子…算数苦手だったのか?」

「うん…あんまり得意じゃなかったかな~。私、どっちかっていうと文系だったし」

「そうなのか?物理教師の奥さんになろうっていう奴が、理数系苦手ってどうなんだよ?」

「え~それは関係ないでしょう」

「俺が教えてやろうか?」

「……遠慮しときます」



妙に楽しそうにニッと笑った大和に、私はちょっぴり引き攣った笑顔を作って、その申し出を丁重にお断りした。



「そう言えば、大和は七夕に、何かお願い事とかあるの?」

「俺?」



ふと思い立って、私は大和の顔を見上げた。
今年は七夕飾りをする機会は無かったが、もし短冊に願いを書くとしたら、大和が何を書くのかちょっと興味がある。

私の問いに、大和は「そうだな…」と考えを巡らせた後、何か思いついた様子で顔を上げた。


「…例えば、『ぶう子の気持ち良いわらび餅な脇腹が、来年もキープされていますように』とか?」

「な…っ!?」



その思いもよらない願い事に、私は驚いて声を詰まらせた。

「何それ~!!」


当然、私は抗議の声を上げたのだが、大和はいかにも楽しそうに笑うと、再び何かを思いついたらしく、いたずら坊主そのものという目で言葉を続けた。


「それがダメなら、『ぶう子があんまり、ぶうたれなくなりますように』とか…」

「ぶぅ…!」

「お!それそれ!それが無くなりますように…とか?」

「大和~!?」


「アハハ!それとも『ぶう子がこれ以上酒豪になりませんように』の方が良いかな?」


もう願い事なのか悪口なのか分からない大和の願い事に、私はちょっと拗ねて頬を膨らませた。

…まぁ、大和のイジワルは今に始まった事じゃないけれど、今日は機嫌が良いのか、彼らしい言葉がポンポンと出て来ている。

それはそれで良い事なんだけどね…なんて思っているあたり、私もすっかり彼の言動に慣れてきたってことだとは思う。
でも、やられっぱなしも少々悔しいので、拗ねた表情をキープしたまま、私は大和へと問いかけた。


「もっとちゃんとした願い事、他にないの!?」

「他?」


大和は私の言葉を短く繰り返すと、そっと顎に手を当てた。



「そうだな、他には…………あ!この前、お前全然下見ずに歩いててルンバに躓いてたろ?だから『オレが見てない所でぶう子が転びませんように』とか…」


「え…?」


「あとは…先月、お前ちょっと風邪気味だったからな、『今年はぶう子がもう風邪をひきませんように』も良いな……」




(あれ……?)


大和が挙げ始めた願い事に、私は膨らませていた頬を元に戻すと、彼の横顔を見上げた。



「…あ、今朝ポストに投函した懸賞ハガキ!『沖縄旅行が当たって、ぶう子と沖縄に行けますように』も要るよな……」



(これって……)


これって……この彼の願い事って……。


「あー…でもやっぱ『佐伯達が勝手にぶう子に手を出しませんように』は重要だよな」

「大和……」




(…やっぱり………)


次々に出てくる大和の願い事の中に「何か」を感じた私は、僅かに鼓動を早めた胸の奥から、声を絞り出すようにして彼の名を呼んだ。



「それとも、もっと身近なことで、『月末にぶう子と見に行く花火大会が、晴れますように』くらいのが良いかな?あまり大きなこと願ってもだし」


「大和…」


「身近な事なら、『来週ぶう子と買い物に行った先で、ぶう子に似合うワンピースが見つかりますように』とかのが、現実的かな…?」

「…大和!」

「ん?なんだよ?お前が欲しがってたのって、ワンピースじゃなかったか?」

「ワンピースだけど、そうじゃなくて……!」


僅かに首をかしげている大和に、私は赤く染まりだした頬を気にしながらも、胸の奥で感じた事を、言葉にして彼に告げた。



「……大和の願い事って、どうして私のことばっかりなの…?」





「…………え?」





私に言われて初めて気づいたんだろう。大和は今の今まで自分が口にしていた願い事の数々を振り返って、はたとその事実に気付いた様子だった。



「………………」



一瞬、彼の目が泳いで、バツが悪そうにフイッと横を向いてしまう。


でも、直ぐに大和は視線を私へと戻すと、左手でそっと私の髪に触れて来た。




「…そんなの…………お前以外に、オレが願うことなんてねーよ」



「あ…………」





もしかして、そうかな………なんて、図々しい予想は、私の中にはあった。

でも、大和の言葉でちゃんと告げられると、凄く恥ずかしくって………凄く嬉しかった。



「……うん」



胸の内の喜びがそのまま表情となり、私の顔を緩ませる。


私が笑うと同時に、大和の表情もまた、フワリと甘く綻んで。
その嬉しそうな笑顔の、優しく笑んだ口元そのままに、大和は私の目尻に小さなキスを贈ってくれた。




「………で?お前の願い事は?」


そっと、私の目を覗き込みながら、大和が甘い声音で尋ねる。


私の願い事………そんなの、尋ねられるまでもない。



私はそっと大和の腕に擦り寄ると、彼の優しい瞳を見上げる様にしながら答えた。




「私だって、大和のこと以外ないもん。だから、『大和の願い事が、全部叶いますように』……」




「***……」




私の願い事に、大和は本当に嬉しそうに笑ってくれた。


私の願い事なんて、本当に大和のことしかない。
例えば、今の体系をキープしたいと思うのも、風邪をひかないようにしようと思うのも、うっかり転んだりしないようにと思うのも、全部、その先に大和の笑顔があるから…。


欲張りな私たちの願い事を、七夕のお星さまが、どれだけ叶えてくれるか分からないけれど、今もこれからも、こうして2人で笑っていられることを、最後に心の中で願って…。




「大和、今日の夕飯、何にしよっか?」


「七夕だしな…そうめんとか、冷やし中華とか、そういう涼しげなのにするか?」

「うん!いいね!」

「トッピングとか、星型にして飾ってやるよ!それっぽくしようぜ!」

「うん!!」




2人、顔を見合わせて笑い合うと、私たちは再び歩き出した。

ふと見上げた夕焼け空に、雲は無かった。

きっと今夜、織姫と彦星は1年に一度の逢瀬を果たせるだろう。


そんなことを思いながら、私は差し伸べられた大和の左手に、自分の右手をそっと絡ませた。







fin






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ここまでお付き合い下さり、どうも有り難うございましたvv
久し振りに書いたので、自分でも違和感ありありという…(汗)
完全にお目汚しで、失礼致しました。

そうそう!誓キスも2周年ですね☆
サイトの2周年コメント……どうやら私の投稿が採用されたっぽいです(^^;)
大和の2周年コメント……私の記憶違いでなかったら、私が投稿した台詞を言ってくれてます。
「骨抜きにしやがって」ってヤツです。多分。
なんかもう、何パターンか投稿したので、実は記憶が曖昧なんですが(爆)、
何はともあれ、ボルテージさん!採用して下さり、有り難うございます!!


ということで、今月は大和のお誕生月ですね♪
時間と気力があったら、また大和のお話を書ければな~と思っております。



……需要があるかどうかは、分かりませんけどね(^^;)