Day3-4   El Capitan  East Buttress

 

まだまだ夜が明けぬ4:30、Camp4出発。暗闇の中を徒歩でアプローチする。

5:40トレイルに入り、樹林帯を抜けてガレ場を登る。前日に下見したにも関わらず、暗闇の中でヘッドランプの明かりでは全くと言っていいほど道が分からず、結果的に適当に進む。

結局、前日とは全く別のところを通ったようだがとりあえず南東壁の基部に出た。

6:50、East Buttressの取り付き着。次第に夜が明けてきた。

 

登る準備をしていると、「メチメチメチプシューッパーパーパー!!!」と物凄い轟音が轟いた。

落石だ。音の方向からして、さっき自分が歩いてきた、まさにその真上からだろう。

5分か10分遅れていたら、巻き込まれていた。恐ろしい、恐ろしすぎる。直撃しなくとも、飛び散った破片一つで簡単に死ねる。。。

 

そんなこんなで7:00過ぎ登攀開始。

1P目は、終了点直下がちょいと悪く(トポでは5.10aだが体感10c以上!)、頑張ってオンサイト。

 

FIXして取り付きに戻ると、後続のパーティが来ていた。

追いつかれないように、急いで登り返すものの、早そうな二人組みなので、2P目から先を譲る。

 

2P目は出だしが難しいが、プロテクションの効きも悪いのでかなり落ちたくない。先行の2人のムーブを見ておいて良かった。

 

3P目は、フェースをいきなり思いっきり左へトラバースし、フェースの左カンテを登る。

ムーブ的には易しいが、プロテクションはほとんど取れない。

それより先行パーティーがいなかったら、このラインどりに直ぐには気付かなかったかもしれない。

カンテを登りきったところにビレー点があるが、ここ以降緩傾斜になるので、ロープを延ばせるだけ延ばしてピッチをきる。

 

4P目は、緩傾斜から傾斜が徐々に立ってくる。

このピッチで3番手パーティーの猛追に会い、終了点で抜かしてもらう。

このルートは、中級者以上のある程度慣れた連中が軽装でスピード上げて登ってくるパターンが多いようだ。みんなそこそこ早くて、ソロではなかなか太刀打ち出来ない。

 

5P目は、中間部で小さなルーフ越えがあり(トポでは5.8だが…ジャパニーズの感覚ではそんなに易しくない)、その後右上してリッジに出る。

続く6P目の左上クラックもみんな繋げて登っていて、自分もそうした。2P繋げて55mくらい。

 

7P目は、真上にすごく明瞭な被ったワイドクラックが待ち構えている。はじめに、ワイドクラック正面突破を目論むが、デカキャメを持っておらず、被っているところの途中まで行ってヤバそうだなと思い、一旦クライムダウン。さらに後続パーティが控えていたので、先を譲って様子を伺うと、ワイドを突破せずに、左のフェースを巻いて登っていく。こちらはこちらで、プロテクションが取れなくてやばそうなのだが、真似して行ってみるとそんなにヤバくなくなく無事通過出来た。

 

8P目、9P目はプロテクションは取れないけど、易しいフェースクライミング。ここまでのピッチで感覚が麻痺しているので、もう簡単な箇所でのランナウトは気にならない。

 

10P目は、正面に大岩が突き出ていてその右コーナーを登るような感じ。このピッチを登りきったところで明らかに傾斜が緩くなり「ようやく終わった」的な感じになるが、ラストもう1ピッチ。

その頃には、辺りはほとんど真っ暗になっていた。

ビレー点で居合わせた後続のパーティーに「どうするんだ?」と聞かれたので、「下降路が分からないので、今日は上でステイする。」と言うと、「夜は寒いぞ~」的なことを言われた。

ラスト11P目。後続の二人はビレー無しでスラブを上がって消えて行った。緩いスラブなので自分もフリーソロで行ったろかと思ったが、ビバークは決定的なので時間はあるし、ここでミスったらアホらしいのでロープを結んでいく。

PM7:30頃、一応トップアウト。あまり平らじゃないけどなんとか横になれる岩陰のスペースを見つけて寝ることにする。エマージェンシーシートと、念のために持ってきたダウンジャケットが大いに役に立った。

(翌朝撮影)

 

ほぼ満月で明るく、無風の穏やかな夜だった。

それでも熟睡はできず、夜明けが待ち遠しかった。

 

 

 

明るくなると、あたりの地形が明らかになって、もう少し進めば平らな台地だった。

太陽が顔を出すのを待って、下山を開始。

イーストリッジの下降ポイントは、的確なトポのおけげで、迷わずに辿り着いた。

6回のラペルは、すべてFIXロープが張られていて明瞭だった。

 

AM10:00過ぎ、Camp4帰着。

朝飯兼昼飯を食べて、この日はレストした。

イーストリッジからCamp4への帰り道「なんかヨセミテ1発目から頑張っちゃったな~」と、若干の満足感を感じつつ、同時に多くの課題が浮き彫りになった。

ビッグウォールやれるんかいな…