Zatolog -26ページ目

Zatolog

つれづれなるまゝに、日暮らし、硯に向ひて、心に移り行くよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、怪しうこそ物狂ほしけれ。

日々感じたことを、忘れずに、共有し、共感し、共生したい。

ゴジラ-1.0@TOHOシネマズ日本橋


ゴジラ70周年記念作品とのこと。

70年前にあの映画を撮ったのかと思うと、先人の知恵と工夫には敵わないと思い知らされる。

そして今作は、その1954年よりも前の時代が描かれているという不思議な倒錯感を覚えた。


個人的にはどうしても、『シン・ゴジラ』と比較してしまった。

あの作品は現代作品としてのゴジラを描いた秀作だったが、今作は戦後の混沌期を舞台にゴジラ来襲をみせる。

終戦を迎えても自己完結し切れない戦争への思いが主なテーマであるが、記念作品でもあり今の世の中に紡ぎあげる意味が私には見出せなかった。

その点、『シン・ゴジラ』での現代的描写と先行作品への畏敬の念に頭が下がる思いがした。


1954年の第一作でも、ゴジラ撃退の一手は特攻的なプランであり、自らの発明したオキシジェン・デストロイヤーとともに芹沢博士は命を落とす。

そのアンチテーゼとして描かれた今作の手段は秀逸だと思うが、実行する本人には生き残る意思が希薄なのが悔やまれる。

きちんと対比させるのであれば、周りに生かされる結末よりも、自身の意思で生きることを見つけて欲しかった。

それを担うべき存在はヒロインなのだろうが、その瞬間には劇中的に不在になっていることも悩みの種である。


未知のゴジラを殲滅する作戦として、あまりにも空想科学的な内容もいかがなものかと思った。

そして、毎度毎度、再来襲を匂わせるエンディングにするのも芸がない、、、いや、これは型か、、、

それにしても、伊福部先生のメインテーマは腹に響く。


そう、大事なこと。

いったい何がマイナスワンだったんだろうか、、、


目標まで、あと97本。


すばらしき世界@Amazon Prime Video


殺人の経過を終え刑務所を出所した、元ヤクザの男性のその後の生活を描く。

獄中にいた13年の時間は、世の中の在り方を変えてしまったのか、、、


私はそんなことはないと思った。

偏見的な視線は過去の方がキツかったこともあるだろうし、劇中の時間軸である平成29年もこの令和6年よりも強いだろう。

そして、主人公の三上は前科六犯、以前に服役していたこともあるだろうから、身をもって経験しているのではないだろうか。


カッとなると何をしでかすかわからない、曲がったことが大嫌いな男。

自分のしたことには特段の後悔は持たず、だったが次第に世の中に馴染むためには自らの気持ちをコントロールしなければならないことに気づく。

ただそれは、曲がらない自分を曲げてまで迎合することに他ならず、そこまでしなければならないのか悩み始めたところでその必要もなくなる、というところで幕。


物語は特に何も進まない。

ただただ、還暦前の男が前を向いて少しだけ生きたところ、必ずしも生きやすい世界ではなかったということを描く。

『すばらしき世界』というタイトルは、酷なタイトルであった。


目標まで、あと98本。

映画『窓ぎわのトットちゃん』@ユナイテッドシネマ豊洲


今年の目標は映画を最低100本見ること。

せっかくなので雑感を残しておきたいと思い、数年ぶりにここに書き残す。


新年一本目を何にするか、せっかくなら娘と一緒に見られる映画がいいなと思い、

「SPY×FAMILYの映画行く?」と聞くと、まさかの「『トットちゃん』がいい!」と、、、

確かに予告編見せて、「これ見たい?」と聞いたことはあったが、それを覚えていたとは、、、恐るべし。


言わずと知れたベストセラーの、初の映像化だそうだ。

原作者の黒柳さんは、「読んでくださったみなさんの中に描かれた、独特なトットちゃんができている方がいいと思ったので、オファーを断ってきた」とのこと。

これはまさに慧眼で、一度具現化するとそのイメージはどうしても先行してしまい、独自のトットちゃんは姿を消す。

なにより、黒柳さんにとっては自身の幼少時の思い出そのものであり、他人の手でそれ以外のドットちゃんが世に出るのが嫌だったのではないか、とも思う。


映画としては、楷書で描かれた良質なアニメーション映画であった。

第二次世界大戦過渡期の日本で、他の子どもと馴染むことの苦手なトットちゃんが、ステキな出会いに恵まれる物語である。

特筆すべきは、トットちゃんの通うトモエ學園の校長、小林先生の素晴らしい教育者ぶりにある。

多様性、ボーダーレスの現代に先んじて、俯瞰的な広い視野を持つ先生だったのだろう。

全てを受け入れて、受け入れ難いものも受け入れざるを得ず、その上で未来を見るその姿は我々も規範とするべき姿勢だと思う。


難点としては二点。

アニメーションという選択は、映画としてそのターゲットをボヤかしてしまったように思う。

予告編を見た娘は惹かれたが、本編は若干退屈していたようだ。

本人曰く「謎が多かった」とのことで、戦時中の雰囲気や小児麻痺の何たるかの説明が不十分なので、

物語のクライマックスでの出来事がなぜ起きたのかが不明になってしまったようだ。

(それでも、作中に出てきたひよことの暗喩には気づいていたので、アニメーションで描くのであればもう一歩噛み砕くことも一案であったように思う)


二点目は、トットちゃんの父のキャラクターデザインがオンとオフで違いすぎていて、同一人物に見え難い点。

特に後半、家族のために動くか、自分の主張を通すかの逡巡があるのだが、

一度家族のために折れることを決意するのがオフ、翌朝思い直すのがオンなので上記と同様観客に伝わりにくくなっている。


とはいえ、良質なアニメーションであった。

具体写実な実写映画よりも、イメージを観客に委ねるアニメーションはベターチョイスだったのかもしれない。

大学の同期がスタッフとしてクレジットされていたのも嬉しさを覚えた。

ラインプロデューサーと設定制作、ご苦労様です。


目標まで、あと99本。