

ヒマラヤの王国ブータンは、南アジア諸国の中でも特殊な食文化を持つ。
一般的にトウガラシは料理に辛みを足すためのスパイスとして使われるのに対し、ブータンでは「トウガラシは野菜」なのだ。
「これさえあれば、他に何もいらない」とブータン人が口をそろえる定番料理が「エマ・ダツィ」(トウガラシのチーズ煮込み)だ。
作り方は極めて簡単。
固形チーズを溶かし、大量の青トウガラシを入れて煮込むだけ。
これを皿に盛ったご飯にかける。
当然、トウガラシは具として食べる。
ブータン料理にトウガラシは欠かせない。
現地ガイドは「生のトウガラシに塩を付けるだけで、飯2杯はいける」と笑う。
地方のレストランでは、2人組の女性が「おやつ」のトウガラシをかじりながら談笑していた。
作家リリー・ワンチュクさんは「寒い気候のブータンでは、トウガラシを食して体を温める習慣がある」と説明する。
しかし、過剰摂取が健康に害を及ぼしているのも事実。
医師ロテイ・ツェリン氏はブータン人には胃潰瘍が多いと指摘し、「刺激の強いトウガラシを大量に食べるためだ」と顔をしかめる。
それでもブータン人は食生活を改めようとしない。
「トウガラシがないと、何を食べても味がしないから」と現地ガイド。
エマ・ダツィを食べた後、その意味が分かる気がした。
2013/07/15
[ティンプー:時事]