


先週、サンフランシスコで着陸に失敗した韓国アシアナ航空の旅客機を操縦していたパイロットはエアバス機では数千時間の飛行経験があったが、事故を起こした機種であるボーイング777型機については40時間ほどしかなかった。
この違いは、コックピットや操縦系統が大きく異なる機種の切り替えに際してあらゆるパイロットが直面する、広範な訓練を受けることの難しさを物語っている。
NTSBのデボラ・ハースマン委員長は11日、アシアナ航空214便のサンフランシスコでの事故の調査では、機器の不具合を示す証拠は見つかっていないことを明らかにした。
アシアナ航空214便が危険なまでに低速・低空飛行でサンフランシスコ国際空港に向けて降下していたときに操縦かんを握っていた機長のイ・カングク氏は、777型機の熟練パイロット監督の下、胴体幅の広い同型機の操縦訓練の最終段階を半分ほど終えたところだった。
イ氏は777型機については訓練中だったが、別の機種での飛行時間は総計1万時間近くに上り、その前はシミュレーターの指導教官を務めていた。
しかし、777型機の操縦を担当し始める前の約10年間は、同型機よりも小さい、単通路のエアバスA320型機しか運航したことがなかった。
A320型機はとりわけスピードとエンジン推力の維持に使用される自動システムが777型機と大きく異なっている。
米国家運輸安全委員会(NTSB)の調査に詳しい関係筋によると、調査員は現在、777型機の操縦を担当し始める前に、イ氏がどの程度の指導を地上やシミュレーターで受けたか、またその訓練が、214便の乗員が直面した事故前の窮地に対するイ氏の対応に影響した可能性があるかどうかを詳しく調査している。
事故発生以来、アシアナ役員はパイロットは両者とも経験豊富で、同社の訓練制度も全ての国際的・国内的な要件を満たしていると繰り返し主張している。
ボーイングとエアバスのコックピットは、自動スロットルの仕組みをはじめ主要な部分が大幅に異なっている。
自動スロットルは機体のエンジンとスピードを調整するもので、調査の大きな焦点となっている。
安全の専門家やジェット旅客機の指導教官パイロットは、エアバス機とボーイング機の切り替えが当初大変な理由の1つはそこだと指摘する。
「そのような機種の切り替え時の訓練の質は極めて重要だ」。
米ノースダコタ大学の航空学教授で韓国でアシアナ航空のパイロット候補生に講義を行ったこともあるジェームズ・ヒギンス氏はこう述べ、さらに十分な時間と練習がなければ「パイロットは新しい機種が以前の機種と全く同じように機能すると誤解する可能性がある」と語った。
NTSBのデボラ・ハースマン委員長は今週記者団に対し、搭乗員が何を考えていたのか、また「自動スロットルがどのように機能すると予想していたのか」を「理解する必要がある」と述べた。
ハースマン氏は11日、5度目で最後のNTSBによる説明会で、調査では事故前の機器の不具合を示す証拠は見つかっていないことを示唆した。
現在までに確認された飛行記録からは、ジェット機の自動操縦システムやフライトディレクター(予定した航路に沿って飛ぶための指示装置)、自動スロットルシステムといった主要な自動システムに「特異な動きは一切」見当たらなかった、とハースマン氏は語った。
パイロットは調査員に、空港へのアプローチ中は終始自動スロットルシステムによって安全なスピードが保たれていると考えていたと話した。
しかし、214便は最終的にパイロットが意図していたよりも約40マイル(約64キロ)遅い時速で飛んでいた。
2013年 7月 12日
[The Wall Street Journal]