

中国食肉大手「双匯(そうかい)国際」が、米豚肉生産大手のスミスフィールド・フーズ社の株式100%をTOB(公開買い付け)することを先月末に発表した。
買収額は約47億ドル(約4435億円)だが、双匯国際はスミスフィールド社の約24億ドル(約2264億円)の債務も引き受ける意向で、総額は71億ドル(約6698億円)となる。
スミスフィールド社は、世界最大規模の養豚業者で、米国の豚肉供給業者の中でも圧倒的スケールによる低コストを実現、輸出市場を開拓しトップの地位にある。
「米中両国、最大手の豚肉供給企業の縁組」と双匯国際の万隆董事長の鼻息も荒いが、買収のための資金として中国銀行が40億ドル(約3772億円)、モルガン・スタンレーが30億ドル(約2829億円)を同社に融資するという。
この“米中豚縁組”が実現すれば、中国企業による過去最大級の米国企業の買収となる。
ただ、合意に至るまでにはスミスフィールド社の株主総会での承認、米国政府の外国投資委員会(CFIUSC)の審査を通過する必要があり、今年下半期に完了する見込みだ。
両社の取締役会で可決されたタイミングでの発表だったようだが、この“米中豚縁組”ニュース、われわれにとっても無関係ではない。
米国から輸入する豚肉の30%強はスミスフィールド社の製品で、スーパー他、豚カツ専門店などで使われている。
とすれば、知らずに胃袋にも入っている。
近年、米豚肉業界は疫病の発生防止や品質管理、衛生管理のため、最先端のノウハウを武器に大型化・機関化が進み、寡占化も進んできたが、スミスフィールド社が在米中国系企業となった後も、果たして「食の安心安全」は維持されるのか?
中国側は「米側の人員削減は行わず工場にも手をつけない」と語ったとされるが近い将来、人民を送り込むのではないか。
双匯国際傘下の河南双匯は一昨年、肉の赤身を増やす禁止薬物「痩肉精」を摂取した豚を使ってハムなどに加工、問題視された前科がある。
しかも今年に入って、浙江省が舞台だったとはいえ、病死した1万頭あまりの豚が川へ遺棄された事件がメディアをにぎわしたばかりだ。
また米国をはじめ世界でメイド・イン・PRC(People,S Republic of Chinaの略)の表示が増えているが、これは消費者がメイド・イン・チャイナを敬遠することによる“苦肉のごまかし表示”とされる。
つまり中国企業にとって“脱中国”こそが生き残る道。
そのためにも莫大な持参金(借金)で外国企業を買収、姿や国籍を変える道を模索していくのだろう。
2013/06/16
[ZAKZAK]