

メキシコの首都メキシコ市で、白昼若者が連れ去られる事件や殺人事件などが相次ぎ、住民を不安に陥れている。
市内では過去数週間で、米黒人公民権運動の指導者マルコムXの孫の殺害や、米海兵隊予備兵の誘拐など米国人を巻き込む事件も発生。
同市はこれまでは他地域に比べると治安が良く、組織絡みの犯罪もそれほど起きていなかった。
若者が拉致される事件は5月26日の白昼、メキシコ市の繁華街ソナローサにあるナイトクラブで起きた。
捜査当局によると、犯罪組織の関係者とみられる約17人が8台の車両で現場に乗りつける様子が映像に映っていたという。
被害者の正確な人数は不明。
当初の報道では12人が拉致されたと伝えられたが、メキシコ市の司法当局は7日、現場の映像から車で連れ去られたと確認できたのは8人だったと話した。
残る4人がどうなったのかは分かっていない。
被害者の中には16歳の未成年もいたとされ、家族などは、武装した集団に誘拐されたと訴えている。
メキシコでは長年にわたり、治安当局と麻薬密輸組織が麻薬戦争を展開してきた。
人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチによると、2006年から12年にかけて、麻薬組織絡みの事件で死亡した人は少なくとも6万人に上る。
統計によっては犠牲者の数はさらに多い。
米国人が犯罪に巻き込まれるケースも多く、メキシコで過去10年に死亡した米国人の数は、紛争地を除けば国外で最多となっている。
2007年に35人だった米国人の死者は、11年には113人へと急増した。
もっとも、何事もなくメキシコを訪れる米国人は年間数百万人に上り、渡航者数も増え続けている。
同国観光省によれば、2012年にメキシコに入国した米国人は約600万人。
13年1~3月期の渡航者は、1年前より5.9%増えている。
北東部タマウリパス州では米国に向かおうとして犯罪組織に拉致されていた165人が救出されるなどの事件も相次いで報じられ、同国の治安を危ぶむ声が出ている。
旅行業界などの関係者によると、メキシコの治安は場所によって大きな違いがあるという。
このため同国には、訪れる場所や行動によって、かつてなく危険な所も、安全な所もあるという。
メキシコの治安を研究している米ジョージタウン大学のジョン・ベイリー名誉教授は、
「観光地にいて分別のある行動をすれば、身の安全は問題にならない」
「善良な人にも悪いことは起こり得るが、それはごく一部にすぎない」と話している。
2013年06月10日
[CNN.co.jp]