三浦しをん著 あやつられ文楽鑑賞 | バステトの本ブログ

バステトの本ブログ

本はネタバレしまくりなのでご注意を☆好きな作家は恩田陸、五條瑛、柴田よしき、今野敏、三浦しをん、よしながふみ、伊坂幸太郎、北村薫

昨日まで忙しかったけど、今日は割と落ち着いています。昨日で滅茶苦茶になってしまったファイルの分類や、その上に乗っかっている書類の数々、マウスが押し潰されんばかりに積み上がった資料&書類の数々を片づけなくちゃいけないんだけどまだそこまで手をつけられていません。
ブログ書いている間に片づけろよ自分、って思うけども現実逃避させてくれよ~、とも思う(^^;)
 
ボーっとしていたらとことこさん に先に感想書かれてしまったわ~☆

三浦 しをん著 (ポプラ社) 『あやつられ文楽鑑賞』
 内容:「この本は、文楽観劇のド素人であった私が、いかにしてこのとんでもない芸能にはまっていったかの記録である」。日本がほこる伝統芸能に、笑い、ツッコミ、ときに涙する。若き直木賞作家が、文楽の魅力に迫る。
鶴澤燕二郎さんに聞く/桐竹勘十郎さんに聞く/京都南座に行く/楽屋での過ごしかた/開演前にお邪魔する/『仮名手本忠臣蔵』を見る/歌舞伎を見る/落語を聞く/睡魔との戦い―「いい脳波が出てますよ」/『桂川連理柵』を見る/内子座に行く/『女殺油地獄』を見る/『浄瑠璃素人講釈』を読む/豊竹咲大夫さんに聞く/襲名披露公演に行く


 文楽、私個人的にもみに行きます。中学の時に初めて人形浄瑠璃を観た時は眠気と戦っていたのになぁ。。曾根崎心中 だったってことは妙にはっきり覚えていますけど。

 この本は、しをんさんが直接太夫さんや三味線さんにインタビューしていますし文楽の有名どころを(しをんさん視線)丁寧に解説してくれるし文楽に初挑戦したい人にはとてもオススメな作品です☆
 実際私も文楽を観に行く前には必ずこの作品であらすじを読んでから観に行きますもの☆
文楽の世界に没頭でき、江戸時代の作品なのにウットリと夢中になれるのは床で語る太夫さんと三味線のベストマッチと人形遣いさんの繊細な動きのトリプルマッチのおかげなんだなぁ、と改めに頭が下がる思いでした。

さて、私が一番感動した文章があります。P53 ラスト3行目から

 宗助さんが楽屋を出るまえに、燕二郎さんとのあいだで、「おねがいします」「ごくろうさまです」というやりとりがあった。なんのことだろうな、と思う。
 宗助さんの出番は『仮名手本忠臣蔵』の「道行旅路の嫁入」だ。この場面では、出語り床に何人もの三味線さんがずらりと並んで演奏する。宗助さん以外の、次が出番の三味線さんたちも、続々と燕二郎さんの楽屋を訪れ、「おねがいします」と挨拶していく。
 出演するみなさんが舞台のほうへ去っていき、楽屋がまた静かになったところで、燕二郎さんが説明してくれた。
「出番のものが、楽屋にいるものに『おねがいします』と言って舞台へ向かうのは、『舞台で自分の身になにかあったときは、あとをよろしくおねがいします』という意味があるんです」
 家に帰ってから、竹本住太夫さんの『文楽のこころを語る』(文藝春秋) という本を読み返していて、はっとした。
 住太夫さんは、五世鶴澤燕三さんと組んでいた。その燕三さんが、住太夫さんと舞台に出て三味線を弾いているときに倒れた。燕三さんの様子を心配しつつも、三味線なしで語りつづける住太夫さん。そのとき、燕二郎さんが浴衣姿で舞台に出てきて三味線を弾いた、と書いてあったのだ。燕二郎さんは五世燕三さんのお弟子さんである。
 燕二郎さんは、そういう経験についてなにも言わなかったけれど、私は、舞台に臨むときの覚悟のようなものを感じた。
 「おねがいします」という挨拶も、半ば慣習になってきているのかもしれない。それでも、真剣に舞台に臨み、万が一なにかあったときには、同じ道を追求するもの同士が助けあい、あとを引き受けるぞ、という気持ちが、「おねがいします」の挨拶のなかには、いまもちゃんとこめられているのだ。

ここの文章を読むたびにど~しても目頭が熱くなってしまうんだよなぁ。芸の道を究める人たちは昔からこうやって情熱を受け継いできたんだな、素晴らしいな、と思います。

 ソフトカバーだし「文楽ってなに?」から分かりやすく説明してくれるし、実際に文楽に携わっている方々の舞台裏をのぞき見ることのできる一冊です!是非ご一読☆☆