仏果を得ず | バステトの本ブログ

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本はネタバレしまくりなのでご注意を☆好きな作家は恩田陸、五條瑛、柴田よしき、今野敏、三浦しをん、よしながふみ、伊坂幸太郎、北村薫

宝塚の受験を断念(今でも好きですが)→高校時代に観た劇団四季ライオンキングに感激し、オペラで圧倒され、車の中では母が図書館から借りてくる落語のCDで爆笑し、歌舞伎で手に汗握り、寄席でベテランの芸人さんの腕前に感心しましたが、唯一集中力が続かず夢の世界に旅立ってしまったのが人形浄瑠璃です。


仏果を得ず 三浦 しをん著 (双葉社) 『仏果を得ず』
直木賞作家が描く、伝統芸能の世界。主人公は太夫を語る大夫・健。人間国宝の師匠や変わり者の三味線弾きに鍛えられながら芸を磨く。芸に恋に悩みながら健は成長していく。傑作青春小説。
“好き”が過ぎるとバカになる。でも、そんなバカならなってみたい。文楽に賭ける若手大夫の熱い青春。直木賞作家が愛をこめて語ります。


 いや!でも言い訳をさせてください!!(って誰も聞いてないですね) 中学二年の冬、臨海学校(田舎の山の宿泊施設)での夜にオリエンテーションでボランティア(だったかなぁ)の方が宿泊施設にある体育館(暖房)上演してくださいました。忘れもしない超有名どころ、曾根崎心中でした。

 え~っと。だって冬だったんです!山だから本当に寒くて寒くて・・・寒がり+極度の冷え性の私には真冬に滝に打たれるがごときの苦行でしたの!それにお昼は各班ごとに外(!)でカレーを作ったのですが、中学生にもなるとカレーのルーは中辛になるんですよ。私は(辛くて)食べられず、白米(しかしおかずがないため食べられなかった)のみで、体力の消耗と空腹の極みだったのです。
 そんな中、集中力を保ちつつ、予習もなしにいきなり人形浄瑠璃を観続けるのはちょっとムリな話しじゃありませんか?

眠りの世界に行きましたが危うく(寒すぎて)黄泉の世界にまで誇張でなく旅立ってしまうところでした。

 それに懲りていたはずだったのですが、『仏果を得ず』を読んでから、俄然ちゃんと文楽を見に行きたくなりました! しをんさんの爆笑エッセイにもたびたび出てきてしをんさんが絶賛する文楽。全然小説の内容としては面白そうじゃないのに(失礼)あっと言う間に引き込まれ、文楽の世界の裏側をほんの少し垣間見た気持ちになりました。 『風が強く吹いている』 (箱根駅伝を部員たった10人で目指す話)でも思ったけど、内容としてはダレそうな題材なのにしっかりと小説にし、しかも読み手を引き込む文章がとても巧いなぁと思います。

 『仏果を得ず』では、文楽という日本の伝統文芸だからこそのしきたりや、辛く厳しいメンも描かれているけれど主人公の若手太夫 健が、うんうん悩み唸りながら昔から受け継がれてきた話を理解して消化しようとする一生懸命な姿勢にとても好感が持てました。

 健は師匠を尊敬し、いつかは・・・と憧れてはいるけど普段の師匠の無茶苦茶ぶりに振り回されてゲッソリしたり、相手方の三味線 兎一郎(寡黙だけど一流の腕前。大好物はプリン)との人間関係(どこまでも信頼できる人間関係を築くことが必要不可欠なんだそうです)に苦戦したりと主人公ががむしゃらに頑張る姿に読み手は引き込まれてしまうんだなぁ。

 あと嬉しいのが全然文楽という言葉すら知らないで読み始める読者にも分かりやすいように物語の端々に健がやる物語のあらすじが描かれています。健が納得出来ないシーンや、思わず肩入れしたくなってしまうシーンも描かれていて、この本を読み終わったあとにはだいたいの文楽で上演されるメインの物語が頭に入った状態になります!
 そして猛烈にも~~れつに文楽をちゃんと観てみたくなってしまうのです!!

 未読の方は是非☆