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北村 薫著 (創元推理文庫) 『空飛ぶ馬』
内容:「私たちの日常にひそむささいだけれど不可思議な謎のなかに、貴重な人生の輝きや生きてゆくことの哀しみが隠されていることを教えてくれる」と宮部みゆきが絶賛する通り、これは本格推理の面白さと小説の醍醐味とがきわめて幸福な結婚をして生まれ出た作品である。 |
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北村 薫著 (創元推理文庫) 『夜の蝉』
内容:呼吸するように本を読む主人公の「私」を取り巻く女性たち―ふたりの友人、姉―を核に、ふと顔を覗かせた不可思議な事どもの内面にたゆたう論理性をすくいとって見せてくれる錦繍の三編。色あざやかに紡ぎ出された人間模様に綾なす巧妙な伏線が読後の爽快感を誘う。第四十四回日本推理作家協会賞を受賞し、覆面作家だった著者が素顔を公開するきっかけとなった第二作品集。 |
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北村 薫著 (創元推理文庫) 『秋の花』
内容:絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を苛酷な運命が待ち受けていた。ひとりが召され、ひとりは抜け殻と化したように憔悴の度を加えていく。文化祭準備中の事故と処理された女子高生の墜落死―親友を喪った傷心の利恵を案じ、ふたりの先輩である『私』は事件の核心に迫ろうとするが、疑心暗鬼を生ずるばかり。考えあぐねて円紫さんに打ち明けた日、利恵がいなくなった…。 |
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北村 薫著 (創元推理文庫) 『六の宮の姫君』
内容:最終学年を迎えた「私」は卒論のテーマ「芥川龍之介」を掘り下げていく一方、田崎信全集の編集作業に追われる出版社で初めてのアルバイトを経験する。その縁あって、図らずも文壇の長老から芥川の謎めいた言葉を聞くことに。「あれは玉突きだね。…いや、というよりはキャッチボールだ」―王朝物の短編「六の宮の姫君」に寄せられた言辞を巡って、「私」の探偵が始まった…。 |
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北村 薫著 (創元推理文庫) 『朝霧』
内容:前作『六の宮の姫君』で着手した卒業論文を書き上げ、巣立ちの時を迎えたヒロインは、出版社の編集者として社会人生活のスタートを切る。新たな抒情詩を奏でていく中で、巡りあわせの妙に打たれ暫し呆然とする「私」。その様子に読み手は、従前の物語に織り込まれてきた糸の緊密さに陶然とする自分自身を見る想いがするだろう。幕切れの寥亮たる余韻は次作への橋を懸けずにはいない。 |
①『空飛ぶ馬』
特別大事件が起こるわけでも、人が殺されるわけでも、大どんでん返しがあるわけでもない。日常のささいな不思議を女子大生の<私>と落語家の円紫師匠コンビが謎を解いて行きます。
地味な生活を送り、落語好きの<私>は、ある時在学している大学の教授から大学のOBで<私>が大好きな落語家、円紫師匠を紹介される。
この<私>が良い意味でとても真面目で、物事をきちんと正面からとらえられる女の子でとても良いです。
三部目の『赤頭巾』では、大人の狡さ、醜さを目の当たりにし打ちのめされた<私>ですが、ラストに『空飛ぶ馬』を持ってきた北村氏のセンスに私は唸りましたよ。本当に素晴らしいです![]()
生きていく上ではきれいごとだけではすまないこともある。でもね、人間捨てたもんじゃないでしょう?と
いう円紫師匠の言葉を<私>が素直に受け入れることができ、読み手側もホッとして本を閉じることができます。
落語好きと落語家のコンビですから、例えに落語が多く出てきます。しかし、その例えの落語についても二人の会話がさりげない解説になっているので「あぁ。なるほど」と落語に不案内な人にも理解できるように工夫されているのも流石北村氏![]()
<私>の大学の供だし、美人でサッパリした男勝りな正子(しょうこ)、おっとりとしてお姫様みたいな江美ちゃんの三人のやりとりもとても面白いです![]()
②『夜の蝉』
<私>と姉の関係や、正ちゃん、江美ちゃんとの関係。江美ちゃんの穏やかだけどしっかりとした愛情。そういう、<私>が触れてこなかったものにもたどたどしいながらも向き合っていく<私>の成長が描かれています。
円紫師匠と<私>の会話や、さりげない落語のマメ知識は相変わらず楽しく読めます!(北村氏は元高校の国語の教師)今まで多くの大人と子供の狭間にいる生徒と接してきたからこそこういう<私>のような人物を描けるのかなぁと思います。
円紫師匠のさりげないアドバスも、子供大人の区別なく、<私>を対等の人間として見てのアドバイスなので、読んでいる私も なるほど。そうか。。 と素直に耳を傾けることができました。
③『秋の花』
「私達って、そんなにもろいんでしょうか」
この一言が思わずドキリとしてしまった本でした。
このシリーズの中で一番好きな巻かもしれない。
双子のようにいつも一緒にいた<私>の高校の後輩 真理子と利恵。
文化祭の前日、勝ち気で利恵をいつもひっぱってくれていた真理子が屋上から転落死してしまう。 抜け殻になってしまったような利恵。
棺の中に入れたはずの教科書の謎、利恵に助けを求められながらもなにもできない歯がゆさを抱く<私>は、円紫師匠に相談する・・・
円紫師匠から謎解明の説明を受けているときにポツリと<私>がつぶやく、「私達って、そんなにもろいんでしょうか」 という言葉が胸に詰まる思いをしながら読みました。
たとえ後悔にさいなまれていても、心が病んでしまっても、それを忘れずに全部ひっくるめて明日の希望の為に今日という日を懸命に生き抜く
そんな円紫師匠の言葉におもわず涙が出ました。
真理子の母親も強い人です。 小説の最後に、真理子の母親の 「眠りました」 という言葉に、母親ってなんて強い生き物なんだろうと思いました。
円紫師匠や真理子の母親のように、温かく大きな心で子どもを見守っていける大人になれば・・・とても素敵ですね。
④『六の宮の姫君』
<私>が大人になったからなのか、円紫師匠の登場シーンがあまりなく、ちょっと残念の作品。
卒業を控えた<私>。芥川についての卒論を書きながら あれは玉突きだね。・・・いや、というよりはキャッチボールだ の謎について奔走する。
も~本当に改めてっていうか、、北村氏って本当にすごい。トリックや大きな事件で警察やら悪の組織が大活躍するわけでもない・・・言葉の謎をどんどん突き詰めていくストーリー展開は、一歩間違えるともの凄くつまらない文学のアレコレを詰め込んだだけの頭でっかちな小説になってしまうでしょうに・・・ それを見事にさらりとまとめているんだから![]()
今回は正ちゃんとの二人旅もありますよ![]()
<私>や正ちゃんの卒業の時期ということもあり、かなり文学的な引用や作家と小説内容と時代背景についても細かく語られている文章が多いのですが、小説中に出てくる芥川の小説を未読な人にでも非常に分かりやすく、(もちろん既読な人にとっても)「読んでみようかな」 と思わせる面白い解釈がちりばめられています。
私もこの本読み終わってから早速芥川全集
読みあさりましたもの(笑)
芥川や菊池寛など、様々な文学人の会話が聞こえてくるようで、日本文学専攻出身の私はウットリ。・。。・
そして「学生時代に読んでいればもっと良い卒論が書けたのに!!」と悔しい気持ちでいっぱいです。
資料集めのコツも書いてありますし・・・
文学部の卒論で苦しんでいる(もしくは来年苦しむだろうと予測がつく)文学部の皆さん!!
こちらの本!必読ですよ!!読んだらきっと良い卒論が書けると思われます!
⑤『朝霧』
さて、大学生だった<私>も出版社に就職し、まわりの人々も少しずつ変化していきます。
学生結婚したお姫様みたいに微笑む江美ちゃんはお母さんになり、美人で男勝りな正ちゃんは高校の教師に・・・
第一話「山眠る」では、小学校の先生の話、第二話「走り来るもの」ではリドル・ストーリー。
この庭目では特に真っ暗な世界での舞台劇を観ているようでゾクリとします。
この作品の登場人物はみな善人だけど、その後ろ(例えば行間)に目を向けるとゾッとするような闇が広がっている。 この登場人物一人一人がその背景に気づいていて、その闇と真摯に向かい合える強さがあるからこそ、人物達が際立ってみえます。
私がこの作品で一番好きなシーンが、正ちゃんの家に<私>が久しぶりに泊まりに行き、砂糖をまぶしたピーナッツの話をすることろがあるのが大好き♪
正ちゃん先生いいなぁ~。正ちゃんみたいな現国の先生がいたら絶対寝ないでちゃんと授業受けたのになぁ~




