奨学金という言葉を聞くと、
「若者支援」「チャンスを与える制度」
そんなイメージを持つ人は多いと思う。
でも、金融の現場で長く仕事をしてきて思うのは、
奨学金は“支援制度”ではなく、れっきとした借金契約だ
ということ。
① 奨学金の正体は「信用を前借りする契約」
奨学金は、名前こそ柔らかいが、
契約の中身は個人向けローンとほぼ同じ。
特に重要なのはここ。
奨学金を借りた時点で、
子ども本人の「個人信用情報」に記録される
これはつまり、
- 「この人はいくら借りているか」
- 「きちんと返しているか」
- 「遅れたことはないか」
こうした情報が、金融機関同士で共有されるということ。
② 「本人の借金だから大丈夫」は、実は危うい
よく聞く言葉がある。
「奨学金は子ども本人の借金だから、
親の信用には関係ないですよね?」
確かに、名義は子ども本人。
親の信用情報に直接載るわけではない。
でも問題は、その後の人生だ。
③ 奨学金は、その後の“当たり前”に影響する
奨学金の返済が始まるのは、社会に出てから。
ちょうどこんな場面と重なりやすい。
- スマホを分割で買う
- クレジットカードを作る
- 車をローンで買う
- 結婚や住宅購入を考える
これらはすべて、信用情報を見る取引。
奨学金の返済が、
- きちんと払われていれば問題ない
- 遅れが続けば、審査で不利になる
「若者支援」だと思っていたものが、
若い時期の選択肢を静かに狭めていくことがある
④ 一番怖いのは「返済不能」ではなく「無自覚」
金融の現場でよく見るのは、
「払うつもりはあった」ケース。
たとえば、
- 引っ越して請求書が届かなかった
- 口座に入金し忘れた
- 数か月そのままにしてしまった
奨学金もローン契約。
延滞が続けば、事故情報として記録される。
一般に、3か月以上の延滞は「アウト」と考えていい。
ここで起きるのが、
信用事故だ。
⑤ 「応援したつもり」が、縛りになることもある
親としては、
「学びたい気持ちを応援したい」
「チャンスを奪いたくない」
その気持ちは、すごく自然だと思う。
でも奨学金は、
子どもの将来の信用を、先に使う選択
でもある。
それが良いか悪いか、
正解は家庭ごとに違う。
⑥ だから、親として伝えておきたいこと
奨学金を借りるなら、
- これは「支援」ではなく「契約」だということ
- 返済は信用そのものだということ
- 遅れた時の影響は、想像以上に長く残ること
この3つだけは、
ちゃんと子どもに伝えておいてほしい。
奨学金を否定したいわけじゃない。
ただ、
知らないまま背負うには、少し重すぎる
それだけの話だ。