少子化対策のはずなのに、なぜ差が生まれるのか
いまの制度は、「3人育てたかどうか」ではなく、 「今この瞬間に何人が同時に扶養に入っているか」で線が引かれている。 ここが、知り合いの家庭を見ていても違和感が出るいちばんの理由。
多子世帯の“大学支援”はどれくらいの金額になるのか
多子世帯(同時に3人以上が扶養)の条件を満たした家庭で、大学生が対象になると、 授業料と入学金が上限つきで減免される。
| 大学の種類 | 授業料の減免(年) | 入学金(初年度のみ) |
|---|---|---|
| 国公立 | 約54万円 | 約28万円前後 |
| 私立 | 最大約70万円 | 約20〜26万円 |
つまり、私立大学を想定すると、 1人あたり年間70万円前後、 初年度はさらに20万円以上が減免される。
同時に何人が大学生かで、金額が一気に変わる
| 家族構成 | 対象になる大学生 | 年間の減免目安 |
|---|---|---|
| 双子+もう1人(高校生) | 2人 | 約140万円 |
| 3人同時に大学生 | 3人 | 約210万円 |
| 年齢差があり大学生が1人だけ | 1人 | 約70万円 |
| 大学生2人でも扶養が2人扱い | 0人 | 0円 |
この表を見ると、 「同じ3人の子どもを育てた家庭」でも、年に100万〜200万円単位で差がつくことがわかる。
国公立だと“ほぼタダ”になる家庭もある
国公立大学の授業料は、ちょうど年53〜54万円前後。 多子世帯の減免上限とほぼ同じなので、
多子世帯+国公立+条件がそろう家庭は、学費がほぼゼロに近くなる。
給付型奨学金まで組み合わさると、 「学費を払っている実感がほとんどない」家庭が実際に出てくる。
それなのに、なぜ周りでは“救われていない”家庭が多いのか
多子世帯の条件は、 “3人同時に扶養”という数年間しかない。
年齢が離れている3人きょうだいの家庭は、
- 長男は就職して扶養外
- 次男だけが大学生
- 三男は高校生
知り合いの家庭で起きている“逆転現象”
同じ地域・同じ学校の親同士でも、
- 双子の家庭 → 年に100万〜200万円の減免
- 年齢差のある3人家庭 → ほぼゼロ
- 2人世帯 → 全額自己負担
という状態が並んでいる。
2人の家庭のほうが、3人家庭より負担が重くなるという逆転まで起きている。
この制度が“見えにくい”理由
都市部はそもそも多子世帯が少なく、 メディアも政治も都市部が中心。 だから、実際に大きな恩恵を受ける「地方の一部の多子世帯」の話は表に出にくい。
少子化対策と呼ばれているけれど、 実際にはごく一部の家庭に、年間で何百万円もの差が生まれる制度になっている。 それを、知り合いの家庭を見ながら実感している親は少なくない。