大学進学は「生涯」ではなく“10年で元が取れるか”で考える時代
大学進学は、「夢」や「肩書き」で選ぶ時代から、 「投資として回収できるか」で考える時代に変わってきている。
終身雇用は崩れ、転職が前提になり、 生涯年収より“最初の10年”の収支の方が現実的な指標になりつつある。
まず前提:大学進学にかかる「実質コスト」
今回は、国公立大学に進学した一般的なモデルで試算する。
- 学費(4年間):約 240万円
- 高卒で働けたはずの収入(機会損失):約 1,200万円
- 合計コスト:1,440万円
つまり、大卒はまず 1,440万円の赤字からスタートする。
高卒と大卒の「10年間の収入差」モデル
現在の賃金水準をもとに、 高卒と大卒の収入差を10年分で累計した。
| 年次 | 高卒 年収 | 大卒 年収(標準) |
|---|---|---|
| 初年度 | 300万円 | 360万円 |
| 5年目 | 340万円 | 430万円 |
| 10年目 | 380万円 | 520万円 |
この差を学部別に補正し、 10年間でどこまで“回収”できるかを試算する。
学部別「10年回収額」ランキング(国公立モデル)
| 学部 | 10年の収入差 | 進学コストとの差 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 情報系 | +1,620万円 | +180万円 | 回収達成 |
| 工学系 | +1,520万円 | +80万円 | ほぼ回収 |
| 経済・経営 | +1,420万円 | −20万円 | ほぼトントン |
| 法・社会 | +1,320万円 | −120万円 | 未回収 |
| 教育 | +1,200万円 | −240万円 | 未回収 |
| 看護 | +1,200万円 | −240万円 | 未回収 |
| 人文 | +1,080万円 | −360万円 | 未回収 |
数字だけで見えてくる現実
- 5年では、ほぼ全学部が赤字
- 10年で回収できるのは一部の学部のみ
- 「偏差値」より「学部」で回収スピードが変わる
- 進学=得とは限らない時代
大学進学はもはや「長期の夢」ではなく、 10年スパンでの“現実的な投資判断”に近づいている。
この時代に問われているのは、 「どの大学に行くか」ではなく、 「10年後に回収できる進学かどうか」なのかもしれない。
では、子どもの進学を考えるとき、 私たちは“夢”と“現実”のどちらを基準にするべきなのだろうか?