申入書

在日米陸軍司令官・米陸軍第一軍団司令部司令官       ジェームス・ドゥ-ガン准将 様
陸上総隊司令部日米共同部長            兵庫 剛 様
陸上自衛隊座間駐屯地司令             橋口尚徳 様

 トランプ政権は1月3日、ベネズエラに対して大規模な軍事侵攻を実施し、マドゥロ大統領夫妻を拉致しました。ベネズエラの主権を無視した暴挙です。この作戦は昨年から周到な準備を経て強行されました。米陸軍の特殊部隊デルタ・フォースや、米空軍の爆撃機、米海軍の原子力空母も参加したと報道されています。民間人を含む100名以上の死者と、100名以上の重軽症者が出ました。トランプ大統領は、「2度目の攻撃もありうる」と恫喝を加えながら、ベネズエラの豊富な石油資源を米国の管理下に置くと、繰り返し言明しています。夫妻は「イオージマ」という艦名の強襲揚陸艦に乗せられて、キューバにあるグァンタナモ海軍基地を経由して米国へと連行されました。私たちは、ベネズエラ攻撃を今後行わないことを確約し、大統領の拘束、ベネズエラの「運営」を即時中止する事を、米国大統領と国防総省に伝えて下さるよう求めます。
 イオージマは約1700人の海兵隊員を載せて他国に侵攻する軍艦です。艦名は第2次世界大戦の末期に、日本陸海軍2万人と米国海兵隊11万人が激突した硫黄島の戦いから命名されたものです。日本軍は約1万8000人、米軍は約6800人という膨大な戦死者を出しました。マリアナ諸島から日本空襲に向かったB-29爆撃機は日本陸海軍の航空部隊の攻撃を受け、多数の被害を出しました。そのため、B-29を護衛する戦闘機部隊の基地を確保することが、硫黄島の戦いの大きな目的でした。1944年、硫黄島に住んでいた住民約1000人は、日本軍から疎開するよう命令されました。16歳以上の男子住民103人は軍属として基地建設に従事させられました。疎開させられた人々の中には戦後、帰島を申し出た人もいますが、戦後80年を経た現在も、認められていません。
 硫黄島は戦後、米国に接収されました。1967年に返還され、海上自衛隊の厚木基地が管轄する硫黄島航空基地隊が配備されています。現在も2650mの滑走路を使用して米海軍の空母艦載機のFCLP(陸上の滑走路を空母の甲板に見立てた離発着訓練)が毎年実施されています。
 2025年には、中国軍の空母がPCLP終了直後の6月と12月、2回にわたって、硫黄島周辺の海域を航行したこともあり、高市内閣は安保3文書を改訂する方針を打ち出しました。防衛省は4月に「太平洋防衛構想室(仮称)」を新設し、桟橋の建設や滑走路の強化を検討すると報道されています(2026年1月11日付「読売新聞」)。南西諸島から九州へ、そして、日本列島の太平洋側へと軍備拡張はさらに広がろうとしています。宮古島や石垣島から住民避難が計画され、その一方で、九州熊本の、周辺に市街地や病院も多い健軍駐屯地に、3月までに長射程の巡航ミサイル、「12式地対艦誘導弾能力向上型」の配備を強行しようとしています。住民に対しては説明会すら開催されていないのです。80余年の歳月を経て、歴史は繰り返させられようとしていないでしょうか。
2026年度の防衛予算は9兆353億円という膨大な金額になりました。医療や介護、教育といった人間が生きていく上で、切実な分野の予算をもっと増やすよう、私たちは求めます。軍備拡張ではなく粘り強い対話こそ求められています。
 「アフガニスタンとイラクに派兵された兵士はおよそ200万人。そのうち50万人がPTSD(心的外傷後ストレス障害)とTBI(外傷性脳損傷)に苦しんでいる」(『帰還兵はなぜ自殺するのか』の訳者あとがき)という現実を忘れないでください。

         2026年1月17日  バスストップから基地ストップの会と参加者