'99 Spector USA NS-2 | ベーシストとエフェクター

'99 Spector USA NS-2

ベーシストとエフェクター-Spector NS-2_2


バンドでの役割や方向性を考えて、このところベースはサム6弦のフレッテッドとフレットレスの2本に完全に絞っていましたが、やはりロックを豪快に引き倒す4弦ベースへの回帰の思いを捨て切れず、いろいろなベースを試してきました。


今となっては順番をはっきりと覚えている訳ではありませんが、覚えている順に書いてみます。最初は、とても分かりやすく、89製サム4弦。EMG搭載のすばらしいベースでしたが、如何せん6弦とキャラがかぶり過ぎてしまいました。次は、Stingray。これは79年製アッシュと、同じく79年製アルダーを2本。アッシュの方は、物理的重量もかなり重く、オールドStingrayを絵に描いたようなエッジの効いた音。アルダーの方は、オールドStingrayに共通する基本的なキャラクターはアッシュと同様ながらも、もっとミッドが前に出る印象で、特にオーソドクスな2フィンガーで弾くと、とても良い味がありました。あとは、プレギブソン期のSTEINBERGER XL2。さすがのサウンドで、2フィンガー、ピックのサウンドは言わずもがなですが、以外とスラップサウンドがとてもイケるベースです。EMG-SSピックアップとグラファイト樹脂ボディの組み合わせから連想される、らしい感じのシャープな音ですが、以外と中域に枯れ感も持ち合わせていて、個人的にはとても使えるベースだと思いました。なんと言ってもカッコいいですしね。あとは、Atelier ZのJ+H+Jの3PUモデル。本当に良く出来たベースで、JBサウンドもStingrayサウンドも、同時に、高次元で実現している優等生。しかもAtelierセッティングがものすごく精度が高く、弾き易いベースです。


とまあ、様々な4弦ベースを使ってきた訳ですが、ずっと欲しいと思っていながら、手に入れられず仕舞いのベースがあります。高校時代からの20年来の憧れであるSpector NS-2。NS-2には、あの独特のカーブドボディの形は同じであっても、ブランドの歴史的背景もあって、様々なモデルが存在します。乱暴にざっくりと言うと、プリクレ期・クレイマー期、SSD(StuartSpectorDesign)期、現行であり、また製造国もUSA・チェコ・日本・中国・韓国とあり、また同じ期の同じ製造国であっても、搭載プリアンプが違ったりして、どれが自分があこがれた「あのSpectorサウンド」を鳴らしてくれるのか、分からなかった、という部分もあります。自分のあこがれた「あのSpectorサウンド」は、まさにプリクレ時代のSpectorのものですから、状態の良いプリクレを手に入れられれば解決する可能性が高いわけですが、プリクレspectorは玉数が限られており、また、それ故にめちゃめちゃ高価。クレイマー期のSpectorも、もちろんとても良く出来た楽器ではあるのですが、実際に弾いてみて、やはりプリクレとは路線が違う、ロックでの使用にfocusしたような印象を受け、プリクレのような間口の広さは感じませんでした。SSD期のUSA物は、なかなか試す機会に恵まれず。5弦は一度だけ弾いたことがありますが、結構自分のイメージするSpectorに近い音を出してくれる期待がありましたが、探しているのは4弦なので、そのまま彷徨うことに。現行Spectorももちろん数多弾きました。率直な印象としては、個体差によるばらつきが多いと感じました。チェコ製のボルトオンモデルの方が、スルーのUSAよりもグッドサウンドだったり・・・ とまあ、そういうこともありますが、やはり現行USA製のモデルの中に「おっ」と唸るようなものが数本ありました。でも、これもまた、やたらと高価(しかも、音がよいものに限って、この色で塗るか、普通・・・ だったりする)。


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そんな状況の中、出会いがありました。欲しいと思っていたspecの、欲しいと思っていた色のSpector USA NS-2。ただし、価格未定。調整後に価格設定をすると言うので、とりあえずお取置き。自分以外にも、相当な数のキャンセル待ちがあったようで、その辺りは流石のSpectorの根強い人気が垣間見れますが、たまたま運良く自分が待ち行列の一番最初に並べたわけです。待つこと1ヶ月ほど。連絡があり、この価格だったら、と思っていたボーダーラインの遥か下。早速、調整が終わったというNS-2を試奏に。調整が終わったということで弾いてみましたが、なんとも弾きづらい。ネックが捩れていたり、ロッドが効かないとか、そいう致命的な問題があるわけではないのですが、どうもベースが風邪をひいてるというか、本調子ではない、という印象を受けました。ただ、根底に流れる「本物のみが放つオーラ」は紛うことないもの。しっかりとしたセッティングを施せば、必ず自分があこがれた「あのSpectorサウンド」を鳴らしくれると確信し、価格とのバランスを考えた結果、購入しました。


帰宅し、1週間ほどいろいろとセッティングを試しましたが、これは素人では無理と判断し、ROSCOEの際にお世話になったインナーウッドさんに調整をお願いしました。



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昨年、暮れに差し掛かった忙しい時期にもかかわらず、とても速やかに対応して頂き、戻ってきました。手に取った瞬間、まるで違う楽器である印象を受けました。以前から自分が強く思っていることではありますが、改めて、楽器というのは、セッティング次第でこうも変わるものなんだと驚きを隠せないほどの変わり様。まさに自分があこがれた「あのSpectorサウンド」。また、Aguilarアンプとの相性が良いのか、シールド1本でアンプにつないだ音がなんとも(笑)


この音をさらに自分の理想に近づけるべく、PUをプリクレ期の80年代のものに交換。また、9vだったプリアンプとPUの電圧を18vに。PU交換は目論見通りで、オリジナルの90年代後半製のEMGに比べて、より暴れる感じの音になりました。一方、18v化によりPUが拾ってくれるレンジが広くなり、明らかにクリーン感が増したのですが、それにより、逆に暴れる感じが薄まった気もしますので、これは状況を見ながら9vに戻すかも知れません。


アコースティックユニットの場合は、その構成上どうしても6弦の方が対応力が豊かであるので、ある意味6弦ベースが必然となっていますが、ロックバンドの方は、アレンジを工夫すれば4弦で十分対応可能であり(年始にちょっとしたライブで実践済)、6弦で精緻に弾くよりは、むしろ4弦で豪快に弾いた方がしっくり来たりします。上手く使い分けが出来ればいいなと(汗)。