■ベースアンプ :Aguilar DB750 | ベーシストとエフェクター

■ベースアンプ :Aguilar DB750

ベーシストとエフェクター-db750

先日、新しいアンプを手にしました。Aguilar DB750。4本の真空管を使用するプリアンプセクションと、MOSFETによるパワーアンプセクションによるハイブリッドタイプのアンプです。元々自分は真空管搭載の機材が好きであることもあり、ブログの前段を読むとお分かりと思いますが、この2年ほど使っているWALTER WOODS M-300を使い始める前は、同じくAguilarのフルチューブアンプ(プリもパワーも真空管)、DB359を使っていました。ただ、重さ(ケース込みで34kg・・・、まあ、このDB750も大して変わりませんが)と、ハンドリングの難しさ(フルチューブ故のメンテ面での神経質さ)により、継続使用を断念し、WWにスイッチした経緯があります。


そんな訳で、この2年程は全く不満を持つこともなく、むしろ今でもとても気に入ってこのWW M-300を使っていますが、ふとしたキッカケ(これは、いつも通り都合よく「運命」ということで理解をしています)があり、DB750を改めて使うことにいたしました。


ふとしたキッカケといっても、素直に申し上げれば、1つはとても単純なお話しなのですが、年初に観た櫻井哲夫さんとJINOさんのユニット"TETSUJINO"のライブで、お二人ともこのAguilar DB750を使っておられて、とにかく抜群に艶やかでパワーのあるお二人のサウンドに痺れてしまった、というものです。もちろんベースサウンドはアンプのみならず、むしろ決定的にベース本体がそのキャラクターを左右するものですが、MOTION BLUE YOKOHAMAという小さいハコで、櫻井さんのFODERAと、JINOさんのAtelier-Zという、ある意味、生音のキャラクターを想像しやすい2本のベースサウンドを、いずれも物凄く艶やかに再生するこのアンプの再生能力を目の当たりにし、是非自分も、と思ってしまった次第です(笑)


もう1つのキッカケは、そんな思いを持つに至ったタイミングと同じくして、現在のAGUILAR輸入代理店であるKORGによる正規フルOHを経たピカピカのDB750中古品を手に入れる機会に恵まれたこともあり、眠っていた真空管へのこだわりに火がつき、購入してしまった次第です。以前使っていたDB359と比べると、フルチューブではなく、プリのみが真空管×4本、パワーアンプはトランジスタ(とは言え、かなり絶品のMOSFETで、何よりも長時間使用でも、とにかく動作が安定している)という、極めて合理的なアーキテクチャー、DB359の重量:約34kg、出力:200wに対して、重量:20kg(裸で、ですが)、出力:750w(@4オーム、2オームだとなんと975w)と、出力/重量レシオで言っても、かなりのアドバンテージがあります。


探しているものは、目に付きやすいというか、なぜか普段はあまり立ち寄らない楽器店に行って、新品でも滅多に見ることのないレアなDB750が、入手しやすい中古で、しかも無料でOHしてくれるというのですから、面白いものです。OH自体は、真空管やその他の部品交換等もあり1ヶ月強かかってしまいましたが、その分、OH明けでの試奏はすごくワクワクしました。


店頭で、試奏用に於いてあるボロボロの廉価JBタイプのバッシブベースで試しましたが(スピーカーは幸いSWR GOLIATHの10インチ×4)、結果は想像を上回るものでした。それこそ、その廉価JBの良いところも悪いところも、明瞭に白日の下に晒し出す印象です。弦がヘタっていてボソボソと鳴るものの、年季が入って使い倒されているせいか、ボディ・ネックが絶妙な枯れ感を醸し出していて、しっかりと鳴ってくれます。また、真空管のおいしいポイントを良く分かってる設計というのでしょうか、クリーンサウンドにしても、ちょっとオーバードライブさせた状態にしても、ゴリっとした適度な芯を残しつつも、真空管らしい、本当にとてもクリーミーな音で、カタログ標記の謳い文句が決してオーバーでは無いことを実感させられます。また、クリーミーなだけではなく、スラップをした際のパキンとしたクリスピーなドライブ感も持ち合わせていて、全ての要素が絶妙なバランスの上に成り立っている、そんなアンプです。


イコライザーの仕様は、DB359のフェンダーアンプ系のバッシブタイプとは違い、基本はセンタークリックのない、アクティブタイプと見受けられます(チューブシェルビングとありますが)。それにbright switchとdeep switchがあり、ブライトの方がパッシブ(onで生音)、ディープはアクティブ(offで生音)のようです。Walter Woodsアンプと並列で鳴らしながら確認をしていくと、highとmidをわずかに持ち上げ、bassフラット、bright switchをon、deepをoff、のセッティングがフラット状態。これを基本として、midをもうちょっと足してあげて、gainをやや高めにしてあげると、真空管らしい、というか、おそらくAguilarが設計上意図したであろう「Aguilarらしさ」に、体全体が包まれます。epifani T210ULとの相性もよく、音像がぼやけることも全くありません。


家で、調子に乗って結構デカい音を出していたら、かみさんに「うるさい」と言われてしまいましたが、やはりチューブアンプはある程度デカい音で鳴らしてナンボ。そういう意味では、2オーム約1000w、というとんでもないパワーは、家での使用においてはややフラストレーションを蓄積させる要因になります。また、その大パワーに振ったセッティングのせいか、ボリュームを絞っても、高めに設定しても、ほとんどレベルが変わらないノイズ(許容範囲内ですが)、それに、Bカーブなんでしょうか、小音量のボリューム調節がやたらと難しく、ちょっと手元が狂っただけでとんでもない大音量で鳴ってしまうボリュームノブが悩みのタネ(gainを下げればよいのですが、それだとドライブしないですからね)。元々、小音量で鳴らすことを想定していないシロモノだと思うので、しょうがないですが。自動車教習所で600psオーバーのレーシングマシンを与えれたような、クラッチすらつなげられないという・・・(笑) でも、このアンプ、全体的にはとても使いやすく、大満足です。質の良いシールドケーブル1本でダイレクトイン、というシチュエーションがよく似合う、「ベース」アンプ。サムベースやAtelier-Z #245+を、MOGAMIやBELDENのケーブルでアンプ直、たまりません(笑)