■ライブレポート  その3 【完結編】 | ベーシストとエフェクター

■ライブレポート  その3 【完結編】

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さて、いよいよshow time開始。最初はカバー曲、Bill Withersのスタンダードで、STING、Paul Mccartney、Al Jarreauなどがカバーした名曲「ain't no sunshine」。vocalのピンでスタートし、アコースティックギター、babyegoを重ねていく。ギターとのシンクロが僅かにズレた気もしたが、まあ許容範囲、順調。実は、前回のロックバンドでのライブの時、1つ失敗したことがあった。ステージではサングラスをかけることが多いのですが、前回は可視光線透過率が10%程度でしかもpolarized(偏光)レンズをつけたものをかけたもんですから、手元もさることながら、足元がまるっきり見えない。今回のライブはシンセ以外は完全ノーエフェクトだったので、それでも問題はないのですが、前回のライブは、1曲目でワーミー・ベースシンセのon/offを繰り返すようなペダル操作があり、暗いのと偏光のせいで、まるっきり見えない。勘で踏んでなんとかhit、事なきを得たが、2曲目でサングラスをはずすハメに。今回は、その学習効果で透過率56%のレンズにしたため、視界はハッキリクッキリでしたが、逆にステージがそんなに暗くなかったので、サングラスとしての効用(表情を見せない)は薄かったように思う。次回からは、3パタンくらいのレンズを用意してライブに臨むことにしようと思った次第です(毎度の事ながら、演奏しながらこんなバカなことばかり考えてる)。


2曲目は、Holly Coleの歌唱で有名な「Calling you」。数が極めて少なく、ペンタトニックの範囲で動き回るもので、技術的には何ら問題はないのですが、この手の曲は、実は大変難しい。理由はカンタン、2小節で4音と、音数が極端に少ないため、ごまかしが利かず、入りをハズすと目立つし、音程がズレると白玉音符が消えるまで、脂汗をかくことになる。vocalも「聴かせる」というミッションを負っており、実は今回のライブ中、最も仕上げに苦労し、最後まで仕上がったという達成感が得られなかった曲。なんとか形にはしたものの、我々の技量を超えた難易度の高い曲だった。次回以降は、慎重な選曲をしようと反省してます。


3曲目はオリジナル曲。ギタリスト作であり、当初は♂vocalを想定した曲であったため、当初は結構ラクに弾けたのですが、♀vocalに合わせるべくキーをB♭、Fに変えた瞬間、体力勝負の曲に変貌。slapベースパートは当初から元アイデアがあったものの、他のベースパートは全てスクラッチでアレンジ。ラテン系のリズムを基調にして、ルートを尊重するものの、統一のベースパターンをローテーションさせることにより、結果的にテンションコードにかぶるベースラインに仕上げた。個人的には一定の完成度を見たものと勝手に思っています。


4曲目もオリジナル。vocal作であったため、当初から弦楽器に手厳しいキー設定。ただ音数が少ないため、それほど体力的には厳しくない。ただ、コード進行極めてストレート&シンプルであったため、極力単調にならないようにということで、ベーシストとしては苦労した曲。基本的にはintro、Aメロ、Bメロの組み合わせであったが、8ビートの刻み、スラップ、ランニング、コード弾き+シンセストリングス、単音+SE音と、自分なりにバリエーションを増やそうと努めた。元来アレンジャーを志望していた自分としては、メインメロディーを変えずに、ベースラインによってコード進行を全面的に変えるalternativeを提示したかったが、time's up。社会人バンドの弱いところです。(フットサルとランニングの時間を削れば、できた?・・・汗)


ということで、そろそろ終盤。もともと、今回のライブの基本構成は「洋楽standard→オリジナル→J-POPカバー」と言う線で行くことにしており、J-POPカバーを何にするかは、結構悩んだ。結局、難易度の高いvocal曲としてMISIA「つつみこむように」、小編成ユニットでのアレンジ難易度が高そうなDreams Come True「うれしい!楽しい!大好き!」に落ち着いた。「つつみこむように」は、実は以外にカンタンに仕上がった。原曲のアレンジとコード進行が、小編成での再現にとても向いていたことが、やってみて分かった。J-POPカバーをやるときは、サビ部分をイメージし、再現できそうならやってみようと言うことになるのだが、実はAメロ・Bメロの再現が想像以上に難しく、結局ボツになるケースが多い。ところがこの曲は特にAメロが C→D on C→Fm→C という進行になっているため、ベース+ギターというミニマム構成でありながら、ベースがCのペンタトニックに徹することにより、オリジナルコードのままで空気感が演出できる。これはとてもよい勉強になった。以前カバーしたEvery Little Thingの曲にも、同質のコード進行(sus4展開でベースラインのキーを固定するパターン)があり、これはアコースティックユニットで大きな武器になると感じた次第です。ただ、sus4やD/onCといったコードの響きは、個人的にはちょっとした麻薬性を感じるので、使いすぎに注意をする必要があるように思います。


「うれしい!楽しい!大好き!」は、かねてから一度アコースティックで演ってみたかった曲。テンションがM7や-5、dimやadd9と複雑な上、上記で解説したパタンと類似するFm7/onCのようなコードも含まれた、「響きの総合商社(失礼)」のような曲。どうアレンジするか、いろいろと考えましたが、結局、複雑なテンションを極力取っ払い、4音コードまでをメインにしたストレート&シンプル基調に仕上げました。これと合わせ、当初はシンプルにした分、アップライトベースでランニングラインを弾く事によって味を加えようとしたが、ここもあえてルートを基調にしたスラップパタンに落ち着いた。またアップライトではなくエレキベースを使うことにした結果、サビのリフレインをintroに持ってきて、それを(06年NHK紅白歌合戦の再現ではないが・・・)vocal&ベース和音弾き+シンセストリングスで再現するというアイデアも副産物として出てきて、結果論としては面白い仕上がりになったのではないかと思っています。


そんなこんなで、ライブは無事終了。(shinmeiさん、お聞き苦しい点、多々あったかと思いますが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。)打ち上げと称して、メンバー&その仲間たちと共に、会場近くの居酒屋で終電時刻までのん気に談笑してましたが、heavyな機材を抱えての地獄の自宅帰還が待っていることを意識の外に追いやることができず、心の底から笑えない時間が過ぎた次第です(ウソ)・・・(でも、駅のホームまで、くぼっちさんに助けてもらって、本当に助かりました。この場を借りて深謝申し上げます。)


さて、次のライブに向けて、そろそろ準備開始。苦しくもあり、楽しくもある、苦悩と享楽の日々、ふたたび(笑)