【番外編】多弦アクティブベースとプリアンプ | ベーシストとエフェクター

【番外編】多弦アクティブベースとプリアンプ


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('89 WARWICK THUMB BASS + original preamp)


さて、みなさまの愛器にはプリアンプは搭載されていますでしょうか。ちょっと前と比べると、最近はパッシブ回帰の傾向が強く、プリを搭載していないベースも多いですが、多弦となると依然としてアクティブPU+プリのベースが幅を利かせているように思います。しかしながら、すごくシッカリした良い造りのベースなのに、なぜゆえにこんなプリを載せてるのか、意図はどこに?といった疑問を抱くようなアクティブベースが少なくないのも事実だと思います。


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('76 FENDER Jazz Bass + bartolini TCT)


弦楽器全般に言えることではありますが、特に多弦ベースの場合は、弦テンションが強いこともあってか、残念ながらネックを中心として長期にわたって良好なコンディションを維持してくれるとは限らないのが実情です。そんな状況下、やはり楽器選びの最大のポイントは木部を中心とした楽器としての「コンディション」ということに、おのずとなってまいります。本来なら、全体として「これだ!」と思えるベースにめぐり合うのが最ものぞましいことではありますが、(例えば自分のように)なかなか市場に流通してこない廃盤ベースとなると、コンディションが良いものがあれば、即getするということになります。別の言い方をすれば、楽器としての素性がよく、弾きやすく、生鳴り(アンプラグド)の状態で心に響く音色と体に響く振動を感じることが出来れば、オリジナル状態にこだわらないという前提で、PUやプリといったエレクトロニクスはいくらでも良いものが揃ってますし、いつでも、本体加工をほとんど要さずに換装することができるのでOK、という訳です。多弦アクティブを使うベーシストとしては、もっとも手軽で、かつ、自身の意図を反映させやすいカスタムだと思います。


Streamer Stage1_wiring
('91 WARWICK STREAMER STAGE Ⅰ+ custom preamp)


そうは言いつつも、せっかく仕上がりの良い楽器なのに粗悪なオペアンプを使ったプリなんかを搭載しているベースを見ると、もったいない、って思ってしまいます。楽器本体は隅々まで思い至っているし、仕上げも丁寧、だからこそ総仕上げとして、楽器に命を吹き込むつもりで、製作者の意図が伝わるようなプリを入れて欲しいと思うのです。


最後に、プリアンプを交換する場合、自分はショップに頼まず自分でやることがほとんどです。木加工や高精度のセッティング等は、職人さんでないと出来ない仕事ですが、プリ交換は、文系ど素人の自分でも、いろいろと調べながらやってみると比較的簡単に理屈がわかり、応用が利くようになることと、自分でやると、その回路構成がとてもよく理解ができ、プレイヤーとしてその楽器に対する理解度も高まると思います。(配線の取り回しだけは、経験とセンスのなせる業だと思います・・・汗)


交換する際は、プリアンプの取説(installation manual等)を見ながら、その通りにやるというのが基本ですが、往々にしてマニュアルは、パッシブPUの使用を前提としていたり、2ボリュームものを前提としていたりしますので、ちょっとでもマニュアルと違うことがあると、一気にドツボにハマってしまいます。搭載しようと思ったベースが、2ボリュームではなく、バランサー付であったり、元のプリアンプ用の周波数切替スイッチ付のポットが付いてたり、プリアンプON/OFFスイッチ付のポットであったり・・・ 自分も以前はそうでした。でも、エレキベースというのは原始的な楽器なので、押さえるところを押さえれば、大丈夫だと思います。


番外編でこんなに長くなるとは思いませんでしたが、実はいくつかのプリをダメにしながら今まで得てきた自分の拙い経験に基づいて、押さえるべきと思われるポイントをさらに列挙しようと思いましたが、これまたとても長くなりそうですので、ご要望があれば、「番外編その2:はじめてのプリ交換(笑)」にでも譲りたいと思います。