■WARWICK Thumb Bass 6st '91 その2 | ベーシストとエフェクター

■WARWICK Thumb Bass 6st '91 その2

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ビーン、ビーン、ビビビンビキビキ・・・ 4年ほど前、渋谷のライブハウスでのライブの日、リハ後に「いい音だねー、のベース」とエンジニアが言ってくれた'96サム5の音。それを彷彿とさせる出音です。トンガリ過ぎず、かといってダルではなく締まっている。粒立ちのよい芯のある音、速いパッセージを弾いても、1音1音1粒1粒が明瞭にはっきりと聴こえる分離の良さ、珠粒のような立体的なふくらみのある指弾き音。ロングトーンは、どこまでも伸びるレーザービームのような音。いわゆる枯れた音とは対極にある音で、明らかにドライではなくウェット系の音なのですが、間延びした感じは一切なく、みずみずしさと歯切れの良さが共存する音。(残念ながらツイーター故障のためスラップ音は雰囲気のみ確認。)


次にヒザの上でひっくり返してサーキット裏ブタを外してみた。ポット類にはMECの刻印、プリアンプは2cm×3cm角程度のブラックボックスで白いシリコンパテのようなものでモールドされています。そしてそのモールドの隙間から、ミニトリムが見えます。当初は'89のサムと同様EMG-BTCあたりを想像していたのですが、風貌から見るにbartoliniのXを含むTCT系か、はたまたオリジナルか。いずれにしても、このミニトリムはゲイン調整と思いきや、ミッドコントロール。しかもかなりハイミッドの設定で正直言ってかなり使いづらい。決して悪い音ではないのですが設定が難しく、むしろプリアンプスルーの方が素直でサムらしい音のような気がします。ということで、プリをスルーした状態でチェックを続けることにしましたが、いずれにしても、'89サム4と同様アースを含めとても丁寧でいかにもハンドメイド的なワイアリングが施されています。


正直、見かけは結構長い間放置されてたようだし、製造から17年を経ようとしているので、トラスロッドが固着、あるいはもう一杯一杯なのでは、ネックが捩れているのでは、ソリが酷いのでは、ウェンジとブビンガのラミネート剥がれがあるはず・・・ どこかに難癖を付けて、買わなくて正解だったと思えるような理由を探すことを目的として試奏に行った部分もありました。


それはそうです。'80s~'90s前半製造の、いわゆるビンテージサム6をずっと探していたものの、見つからなかったから、諦めをつけ、満を持して新品オーダーしたのです。それも、このヴィンテージ仕様のサムの背中を見ながら、それに近づけようという思いを込めてのカスタムオーダー。そのカスタムオーダーサムは十二分に満足の行く、現行品として最高レベルのサムベース6弦。市販仕様に比べると仕上げも丁寧で、ブビンガ材の木目もセレクトして使ってくれたと思えるような美しい杢が出ています。文句の付けようがない逸品です。でも、その背中を追ってきて、捕まえることが出来なかったヴィンテージサム6が、今、自分の手の中に・・・ しかも、ネックはシッカリでセッティングは限りなくフラット、ローアクションでもビビリなし。トラスロッドは両方向に動く。フレットも十分。プリアンプは純正・非純正の判断がつかないものの、エレクトロニクスはいつでも換装できるし、プリアンプスルー状態でのbartoliniソープバーサウンドは申し分なしのブリブリサウンド。致命的なキズはなく、貫禄と言える範囲の使用感。木目もキレイに出ています。買わなくて正解だったと思えるような理由はなかなか見当たらず、むしろ、買わないとあとでめちゃめちゃ後悔しそうな理由ばかりが思い浮かびます。いつもは、買う気満々で現ナマ握り締めて行くのですが、今回は確認しに来ただけなので、手持ち現金は僅か、完全な丸腰状態である。


「カード、使えます?」「はい!」「じゃあ、これ、ください」「ありがとうございます!」・・・ あー、この前、機材整理したばっかりなのに、またやってもうたー・・・ 機材整理した資金でかみさん孝行するんじゃなかったのかよー・・・ でも、コレばかりはしょうがないよね。運命の出会いだからね・・・(汗)


既にショッピングセンターの営業終了時間もとうに過ぎ、バスやタクシーの往来もまばら。さすがにハードケースに入った6kg近いサムベースを持って3kmも歩く気にはとてもなれない。ということで、やむを得ず配達してもらうことにした。


翌々日の夜、仕事から帰りドアを開けると、玄関を上がった奥にデカイ荷物が立てかけてありました。キター!!!



つづく(笑)