■機材の棚卸し ~サムベースに至るまで~ | ベーシストとエフェクター

■機材の棚卸し ~サムベースに至るまで~

THUMB_BASS_6st_07s_5


前回のエントリーで、機材棚卸の状況をご説明しましたが、今回はこの棚卸の中でもっとも核心の部分、つまり「結局なんでサムベース6弦が残ったのか」という点につき、簡単にお話したいと思います。これは、ブログの新規エントリーを綴る、というよりは、感覚と感性でここに至った経緯について、自分でも気付いていないものを可視化しようという試みでもあります。YAMAHA、FODERA、ROSCOE、BENAVENTE、STATUS GRAPHITE・・・ 他にもいろいろとあるような気がしますが、とにかくいろいろなものを試してきました。


ちなみに、このブランド群をご覧になって、違和感を覚えられる方もいらっしゃるかも知れません。多弦ベースの雄、KEN SMITHが入っていないのです。これはSMITHのキャラクターの明快さ故だと思っています。他のベースは一度実際に所有してからじっくりと弾き込む、というプロセスを経ましたが、SMITHの場合は店頭で弾いた瞬間に(もちろん、試奏環境が良いことが前提)相性がわかるというか、そんな感じです。土俵の広さ、懐の深さに間違いはなく、対応キャパは圧倒的に広いものの、一方で恐いほどの深みと明確な主張があり、そこで自分がSMITHに門前払いをされた感があります。材(メイプル、ウォルナット等)によってその主張が明確に違うところがまたこのベースの面白さ、あらゆる材の組み合わせを徹底的に試すだけの時間と財力がないことが悔やまれます(涙)


それはさて置き、自分のスタイル上、一番重要なのは指弾きとスラップのサウンド。この2つの音のバランスをとにもかくにも大切にしています。加えて、現在組んでいる2バンドのアンサンブル、ハードロックバンドとドラムレスアコースティックユニット、この2つにいずれも妥協無くマッチする、ヨゴレ系と清純派の2役を演じ切ってくれることが必須条件となってきます。


自分はとにかく叩くことが大好きなスラッパーなので、叩いた時はゴンゴン・ゴリゴリ・ビキビキと、切れ味鋭くスパッと来て欲しい。でもロックバンドでべヴィなベースサウンドを埋もれずに出すためには、単なるドンシャリでは困ります。ミドルのぶっとい芯は譲れません。指&ピックで寡黙にビートを刻むときは、地味ながらもブリブリとコシが強く、ぼやけずに芯のある中低域を再生して欲しい。でも、ゴリゴリ・パキパキ・ブリブリな押しの強いサウンドだけでも困ります。コード弾きを多用したスローなソロをとる場面やアコースティックなアンサンブルサウンドを奏でる際は、どこまでも澄み渡った濁りの無いクリーンなサウンドを奏でて欲しい。これを全て満たしてくれるベースが欲しい、というのが自分のベース探しの原点であり、到達点でもあります。


加えて、アマチュアであり、「道具バカ」であるため、質実剛健、音と演奏性が全て、というだけではいけません。手にした時に五感を満たしてくれるものでなくてはなりません。正確には味覚・嗅覚を除く三感ですが、聴覚:サウンドは当然のこと、触覚:触って心地よく、視覚:観て美しい、そういうところまで満たして欲しいと思った訳です。


かかる基準の下、ベース選びを進める過程で手にしてきた名器たちは上述の通りであり、このプロセスを経て、完全なる個人的主観のもとに残ったベースがサムベースだった、というわけです。しかしながら、いずれのベースもさすが評判に違わぬ名器揃い。特に強く印象に残っており、事情が許せば手元に置いておきたいのは、ROSCOEとSTATUS GRAPHITE。ROSCOEもSTATUSも、上記の一部の事項に於いては、サム6と同等あるいはそれを上回る感触がもあります。捨てがたい魅力がたくさん詰まった個性豊かなベースを放出するというのは、いつも断腸の思いを伴いますが、アマチュアながら、目指すところ・思うところがあるし、何といっても財資は有限、でそうも言ってられないという現実があります。


とても簡単ですが、こんなプロセスでございました。いつの日かサムベースが、このような僕の片思いに応えて、100%歌い切ってくれることを期して練習に勤しみたいと思います(汗)