■プレイスタイルと相棒の選択 | ベーシストとエフェクター

■プレイスタイルと相棒の選択

機材all_20061119


自分のスタイル・演奏表現をするために、自分に一番fitするベースや機材って、何なんだろう。最近、これをよく考えてしまいます。


すごく表現が難しいのですが、オリジナル曲の場合は自身が創作者という立場も兼ねることになりますが、ベーシストという立場に限定して言うと、曲に「変化をつけよう」と思ったとき、その手段を「自分のプレイに変化をつける」のではなく、安易に「楽器・機材を換える」ことに求めてしまっているような気がするんです。自分のスタイルをより高いレベルで表現するためにあらゆる楽器・機材を使ってるんじゃなくて、実はひょっとして、自分の想像力の無さを楽器・機材の数でfollowしてるんじゃないかと。


思えば、自分の少年時代は、手元にあるのはプレベコピー1本。これで、フォークソング~吹奏楽課題曲~テクノ~フュージョン~ロック、いろんなものをこなさなければなりませんでした。まだ子供でしたが、その時代に、スラップ音をカッコよくするためにドンシャリセッティングを覚えたり、ウッド的なニュアンスを出すためにブリッジ付近にタオルを挟んでネック寄りで親指弾きしたり、フォークソングに馴染ませるためにパッシブトーンを多用したり、low-Dを出すために演奏中にペグを回して元に戻すワザの練習をしたり・・・ いろんな工夫を凝らしました。それが今では、気軽にシンベを使ったり、アップライトに持ち替えてみたり、この曲はStingRay、こっちはアクティブ6弦と、そういう対応になっています。非常に恵まれた環境で決して悪いことではなく表現力は格段にアップしているはずなんですが、何かが足りないような、大事なことを忘れてるような・・・ そんな思いです。


表現の可能性を求めると、手持ちの機材では不足し、新たな表現を求めて新たな機材を求める、というのは極自然なことだし、いまもこれからも否定は一切しません。ただ、あいにく自分自身に実力と分別が足りないため、たまに手段と目的を履き違えて、安易に機材に頼り過ぎる傾向があるのではないかと反省している訳です。ピアノ1台、アコギ1本でクラシック~JAZZ~ロックの表現が妥協なくできるプレイヤーが実際にいるように、自分もそういうエッセンスを学ばないといかんのかな、と。なんでこのようなことを思い巡らせるようになってきたかというと、要因は2つあります。


1つは、楽器の調整・リペアのために入院させている機材が多く、手元にStingRayとジャズベしかない状態でバンドの曲を全部StingRay1本で弾き倒した結果、極論すれば「行こうと思えば、4弦ベース1本でも十分イケる」と確信したこと。


もう1つは、Fender JAZZ BASSの影響。ブランクもありましたが合算すると20年弱となるベーシスト人生の中で、管やアコースティックも含めてありとあらゆるベースをプレイしてきて、今改めてジャズベを弾き込むことによって「スタンダード=標準位置&良いベースサウンド」が確認でき、自分のプレイスタイルに最も適合するベース像なるものを改めて明確に再確認できた、ということ。偉大なジャズベによる強烈な影響で、他のベースにはこの役割が担えなかったと思っています。


そんなこんなで、現在手元にある素晴らしき楽器・機材群に感謝の念を表しつつ、お互い(自分、そして楽器たち)のために、自身のスタイルを表現するためにbestと思われるものに絞っていこうと考えています。後ろ髪をひかれる思いもかなり強く、時間はかかりますが・・・ いま、そんな風に思ってます。