■コンプレッサーの真空管交換 | ベーシストとエフェクター

■コンプレッサーの真空管交換

明けましておめでとうございます。皆様、今年もなにとぞよろしくお願いします。


ということで、ブログテーマ通り、最初はエフェクターの話で行ってみたいと思います。年末にコンプレッサー:Summit Audio TLA-50の真空管を交換してみました。装着する真空管によってコンプレッションの表情が微妙に変わっていくのが面白く、結構はまってしまいました。実は正直なところ、真空管を変えたところで、自分の愚耳にわかるほどの差なんて出ないと思っていたのですが、これが面白いように実によくわかるくらい違います。TLA50のような機材でも、出荷段階では比較的安価なチューブを載せており、チューブをフィーチャーした、もっと低価格の機材は推して知るべし、実は管を変えただけでポテンシャルがぐっと引き出せるのかも知れません。ただ、チューブを使ったドライブ系のエフェクトだけは、管のキャラクター(特にゲインレベル)が設計段階から組み込まれていると思われるため、交換したら歪みが弱くなったり音が硬くなったり、っていうことがあるので注意が必要です。


今回試した管は以下の3本の12AX-7/ECC83。


・純正


TLA50_default_tube_2

・独TELEFUNKEN製(いわゆるsmooth plate、ダイヤマーク付、詳細不明なるも60年代製)


telefunken_ECC83

・米SYLVANIA製(61年製)


sylvania_12AX7


まずは管の交換のため、TLA-50の天板を開けます。昨今の電子機器に比べると複雑とはいえない単純な回路ですが、やはりペダルタイプのスカスカな基板のコンプと比べると貫禄があるアピアランスです。


TLA50_internal


キャラクターがわかりやすいように、コンプレッションをちょっと強めに設定、使用機材は、ROSCOE SKB3006 → BELDEN8412 → TLA50 → BELDEN8412 → WALTER WOODS M-300 + epifani T210UL


まずは、改めて純正管。非常にニュートラルな印象を受けます。カラーが付かないというか、おそらくこれが純粋にTLA50の持つ素性を色付けせずに出力している音なんだろうと感じるものです。楽器用ではなく、例えばヴォーカルのマスタリング用等で使うのであれば、むしろこの方が使いやすいと思います。


次に、usedのTELEFUNKEN管。製造後すでに40年程経過して尚安定した性能を発揮していることを考えると、今後の使用にもさほどの不安はないと思っています。こちらの管は、どちらかと言うとハイに特徴があり、フラットな印象を保ちながら、ハイに煌びやかさが加わる感じです。


最後に、未使用のSYLVANIA製NOS管(軍用パッケージ、グリーン印字)。未使用だったため、今回試す事前に12時間ほど導通だけをさせましたが、まだ完全には馴染んでいないものと思います。それでも、純正品と比較すると、やはり独特のふくよかさがあります。ローはあまり印象は変わらないのですが、ハイに独特の倍音が加わり、ミドルは一層のまろみが加わった印象です。


ということで、それぞれの管の特徴を一言で言うならば以下の通りでしょうか。


・純正管 : フラット
・SYLVANIA管 : 音楽的なハイと、ふくよかなミッドレンジ
・TELEFUNKEN管 : 嫌味のないチューブ的ハイファイ感


ベース用に使うことを前提としているので、フラットよりは若干の味付けが欲しいところ、SYLVANIAかTELEFUNKENを使おうと思ってますが、どちらにするか、悩ましいところ。ブランドイメージで言うと断然TELEFUNKENなのですが、サウンド的な好みでいうと、SYLVANIAが一番はまる感じがしますので、しばらくはこれを使ってみようかと思います。


それにしても、なぜ真空管交換だけで、こんなに違いが出るんでしょうかね。純正管は最近製造された工業製品なので、様々な規制(素材、排水などの環境対策)のために使える材質が60年代とは違う、ということがあるのでしょう。SYLVANIAとTELEFUNKENについては、だいたい同じ年代の製造ですが、米国製と西ドイツ製ということで、素材はもちろん、製造プロセスなどもいろいろと異なるものと思います。それにしても米国製とドイツ製となると、ROSCOEとWARWICKも出元が一緒・・・ と思った次第です。これで英MULLARDの管を揃えれば、STATUSもカバー(苦笑)。