Welcome! YAMAHA サイレントベース SLB200 | ベーシストとエフェクター

Welcome! YAMAHA サイレントベース SLB200

SLB200


先日、訳あって愛器のWARWICK THUMB BASS 6stフレットレス化したことに伴い、このサムベースと、同じくアップライトの愛器 NS Design CR-4のサウンド面でのキャラかぶりが1つの課題になっていました。以前にもお話した通り、このNed SteinbergerのCR-4は素晴らしいサウンドを誇るアップライトで、エレキのフレットレスでもなく、ウッドベースでもなく、独自の音世界を持っている楽器です。一方、サムベースのフレットレスは予想以上の仕上がりで、サウンドも想定通りのgood sound。ブビンガボディからなるこのサムベースのフレットレスは、狙い通りアッシュやアルダーなどの一般材のフレットレスベースとは明らかにそのサウンド傾向が異なる反面、NS CR-4とキャラクターが大きくかぶります。結果は明らかで、エレキベースのプレイアビリティと6弦という音域の広さを考えると、類似する音がでるなら、この分野はエレベに譲らざるを得ません。もちろん、全体的な表現力で言うとNS CR-4には捨てがたいものがありますが、ここは思い切って別の方向に行こう、ということで巷で評判の良かったYAMAHAのサイレントベースSLB200を選びました。


今回のチョイスについては、あまり多くの選択肢はあげませんでした。選択基準は大きく言うと以下の2つのみです。


・エレキのフレットレスとは違う方向性。(いわゆるウッドベース寄りの音)
・エレキがメインなので、価格帯としては高くても20万円前後。


一応選ぶ前に、改めていろんなものを弾くには弾きました。SLB200に加え、同社製のSLB-100Carruther's SUB-1Baby Ego、なぜかNS CR-5Mなど。価格面を考慮して候補はもともと絞り込んであり、SLB200、SLB-100とSUB-1(もちろん中古)が最終選択肢。SLB-100は、試奏した環境が悪かったせいもあるかも知れませんが、あまりピンと来ず、SUB-1も同様だったので候補から外し、結局 SLB200になりました。SLB-100もSUB-1にしても決して悪い訳ではなく好みの問題と思いますが、特にハイポジション(サムポジ)でピエゾ特有のコンコンする感じが目立つ気がしました。アルコやスラップをやるのであれば良かったのかも知れませんが、落ち着いたトーンを求めていた自分としては、SLB200が一番しっくり来ました。


また世間の評判では仕上げ精度に個体差があり、作りが粗い個体もあるということだったので、最安値であったものの、通販は避けて楽器店で現物を見て触ってから購入しました。少なくとも自分のSLB200は、YAMAHAらしく作り込みがとてもしっかりしています。指板はあまりキレイなエボニーではないとの話も聞き及んでいましたが、BBの上位機種にも使われていたYAMAHAお得意のストライプド・エボニーでとてもキレイな縞模様です。他の材もメイプル、スプルース、マホと、基本的にはウッドベースと同様の材、フレームもビーチとアルミの組み合わせで、所有欲も充分に満足させてくれます。弦は、張りたてのダダリオ Helicore Pizzicatoのためか、まだ金属っぽい感じがありますが、弾き込むにつれてだんだん落ち着いてくると思います。(本当はお気に入りのトーマスティック・SPIROCOREを使いたいところですが、エレベ弦と違いおいそれと交換できる代物ではないので、Helicore Pizzicatoが死んでからにしたいと思います)


サウンドはスゴくいい、というほどではないとは思いますが、評判通り、なかなかのもので、充分満足できるものです。とても素直な出音で、特徴がないといえば悪く聞こえますが、妙なクセがなく、逆にどんなジャンルでも使いやすいと思います。学生時代にチェロやコントラバスを弾いていたこともあり、どうしてもそちらと比較をしてしまいますが、可搬性・静寂性・価格のうまいバランスの取り方がいかにもYAMAHAらしく、好感が持てます。デザイン的にも、立った状態で指弾きをすることを前提とすると、とても体とのフィット感もよく、弾きやすいです。


重量も8kg弱とこの手の楽器としては軽く、買ったあと都内の楽器店から満員電車にゆられて自宅まで持ち帰るのも、それほど苦にならない重量とサイズ。難点を挙げるとすれば、以下の点でしょうか。


○エンドピンを抜いて、フレームを外さないとケースに収納できない。
 (付けた状態のまま折りたたんで収納出来ると、尚よいな、と)
○ケースに収納するときに向きを間違えてしまう。(通常右利きのギター
 をハードケースにしまう場合、ヘッドを左、ボディを右に向けた状態で
 収納するのが一般的だと思いますが、SLB200は逆なのです)


逆に言うと、不満があってもこの程度で、難点らしい難点は見当たりません。あまりにクセがなくあっさりとしているので、メインとして使う方には物足りないと感じる場面もあるかも知れませんが、さすが天下のYAMAHA、この価格帯であれば十二分に満足できる実用的で大変良く出来たアップライトだと思います。