製造時期による違い~WARWICK編 | ベーシストとエフェクター

製造時期による違い~WARWICK編

同じメーカーの同じ機種でも、作られた年代によって作りや音が違うということが良く言われます。事実もあるでしょうし、イメージもあると思います。一般論としてどうか、ということを言うつもりはありませんが、今回は自分の愛器、WARWICK Thumb Bassについて、このテーマを掘り下げてみたいと思います。

ギタリストにはなじみのない方が多いと思いますが、ご存知の方には馴染みのあるベース専門メーカー、独WARWICK ワーウィック社のサムベース。昨今はヘヴィロック系のプレイヤーに愛用されることが多いですが、JAZZ・FUSION、Popsまで、幅広く対応できるレンジの広さが魅力といえます。

そんなワーウィックのサムベースですが、95年前後に工場を移転して、それを境に作りが変わったとされています。自分はその作りとサウンドの因果関係、更には、そもそも本当にその時期を境にして作りが変わったのかは定かではありません。

ただ自分が言えるのは、実際に弾いてみて、89年製、96年製、04年製の3本を比較すると明確な違いがあるということです。個体差もあるし、89と96はPUとプリアンプが違うものの、材質・基本的な作り、持った時のバランス感や全体的なテイストは同質で、04年は主要部の材質変更があり、持ったときのバランス、デザイン(ホーン部のえぐりの深さ、指板~ボディの接続処理等)も違います。

自分として決定的なのは、サウンドの違いと、指板~ボディ接続部の加工処理の違い

これは好みと、奏法上の向き不向きのマターであり、良し悪しの問題ではないと思いますが、楽器としてのサウンドは、材質・プリアンプ・PU等、いろいろなものが複雑に影響して形成されます。04年モデルは、とても洗練されたサウンドがします。現在のミュージックシーンとのマッチングを考慮した結果だと思いますが、その観点から言えば、いろいろという人はいますが、自分はワーウィックはマジメに改良を重ねているんだな、って思います。場合によっては、最新のワーウィックが最良のワーウィックと言えるかも知れません。自分も純粋にサウンドだけをとると、場合によっては04年モデルの方が好きだというケースもあります。

でも、指板~ボディの接続部の処理の違いが自分には決定的。04年モデルは指板がエボニー製で厚くて指板~ボディの接続部が鋭角になっているため、弦とボディの間隔が広い上にスラップをすると角に指が当たって痛い場合がある。だからスラップがやりにくいんです。一方、96年モデルは指板がウェンジで比較的薄く、指板~ボディの接続部を滑らかに処理してます。だから、弦とボディの間隔が04年モデルより狭くて、指板角が丸まっているため指があたっても痛くなく、スラップがとてもやりやすいのです。89年モデルも演奏性は96年モデルと同一ですが、PUが(自分が使ったものは)bartoliniで、プリアンプも2バンドイコライザでした。自分の求めるサウンドを出すという意味では、MEC+BEC3バンドの方が良かった。

これが、自分が96年モデルを積極的にチョイスした理由です。

創成期のものの方が作りがしっかりしている、という一般論もあり、部分的にはそれも正しいと思いますが、ある程度の量を作れば、改良すべき点も見えてくるところがあるんでしょう。ただ、楽器なんてものは、ホントに好みの問題なので、見て・触って・聞いて、そして、その楽器の背景にあるストーリー(材質や作られた年代等)も含めて、自分が満足度が高ければ、それで良いと思います。そういった意味では、サウンドがベストではなくても、そのモデルの歴史に惹かれて、とか、デザインに惚れ込んだ、というチョイスも自分はアリだと思います。その方が自分が気持ちよく演奏できるんだったら、そっちの方が良いですよね。

皆さんはどう思われますでしょうか。