あすなひろし、好きです。 | basser-t-0407さんのブログ

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他になあぁ~んにもする事がない時、お立ち寄りください。

おはようございます。

昨夜、2時間近くかかって入力していた駄文が操作ミスで一瞬にして消え、この機械(iPhoneSE)の操作性の悪さとその開発者に対し殺意を覚えた者です。

だいたい何で人差し指1本でタッチしなきゃならん?
文末でない時の文字の挿入・削除が異常にやりにくい。カーソルが思った位置に置けず、ものごっつイライラする。ほんのちょっと長く触れてると(それこそ1、2秒でっせ)、「選択/ペースト」等と要らん窓が開く。
あー、ガラケーの時代が戻って来ねーかなっ。

普通にマクラを置くつもりが、単にイラチの垂れ流しになっちまったい。

えー、何というか、前回の話の続きです。


あすなひろし(1941〜2001)という漫画家を知ったのはいつだったかな。たしか1975年だったと思う。
毎月ではないけれど買ってた「月刊明星」に連載されてた「スター履歴書」。旬のスターを1話ごとにひと組取り上げ、その生い立ちとブレイクするまでを描いた漫画。
その漫画を描いてたのがあすなひろしだった。
そんな、けっしてとびっきりの舞台ではないところで、あすなひろしはオイラの前に現れたんです。

何しろ絵が上手い、ってエラそーですけど、尋常でない才能の持ち主だってことは、ガキンチョだった当時のオイラにだって分かりますって。
でオイラが運良く読むことができたのは、郷ひろみ、岩崎宏美、キャンディーズ、岡田奈々(を取り上げた回)だったかな。
画力はもとより、そのテンポの良さ、本人によるものであろうギャグのセンス、と、限られた枚数の中でのクォリティのしこたま高いお仕事に触れ、「あすなひろし」というひらがな6文字はオイラにきっちり刷り込まれたわけです。
この「スター履歴書」、もちろん単行本化なんてされてもいない。版権は集英社にあるのかな?出してくれないかな。

さて、1976年の夏、当時毎週読んでた週刊少年チャンピオンの第36号に一編の読み切り漫画が載った。

「青い空を、白い雲がかけてった」。

おおっ、あすなひろし。
後にシリーズのタイトルともなる、長いタイトルのこの漫画に、オイラは痺れたわけです。
で、読者の反響も大きかったんでしょう。シリーズ化され、不定期掲載ながら3年半ほどの間に20話が掲載される(ラスト3話は月刊少年チャンピオンに掲載)。
そして、人気漫画家となったあすなひろしに、秋田書店の編集部は週間ベースの連載(「風と海とサブ」)をさせ、そのため「青い空…」は月刊の方へ移ったんだけど、もともと遅筆な作者に週間ペースはキツかったんでしょう、連載は短期間で終了。月刊へ移った「青い空…」もきちんと完結することなく終了してしまいました。

さて、この作品に痺れたオイラは、掲載誌をバラして取っておいた。とはいっても、いきなり唯一の巻頭オールカラーだった第3話の掲載誌を買い逃してるし、ラスト3話が載った「月刊」も買ってない。よってコンプリートではないけれど、切り取った雑誌掲載分を自分で綴じ、いわゆる「私家版」を作った。

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拙い目次もこしらえてくっつけてある。さすがに表紙はただの厚紙で、カバーなんてないけど。
この「私家版」、一時実家の中で行方不明になってたけど、取り壊す前に押入から出て来た(現在は、それまで綴ってはいないけどちゃんと取ってあった後ろの方の4話分がどっかへ行ってしまった。建て直した実家のどこかにあるかなぁ)。

↓正規の単行本。

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かつて買って持っていたヤツは、ものごっつ大切に汚さぬよう保管してたのに、馬鹿なオイラの親が他のコミックスと一緒に勝手に捨ててしまった(それより前に「スター履歴書」が載ってた明星も捨てられた。ホント、我が親ながらモノホンの馬鹿で、色々と怒り心頭・恨み骨髄なんだけどそれは置いといて)。
既に絶版となっていただいぶ後になって、中古で買い直し。美品は見つからなかった。

オイラが遅れてあすなひろしの逝去を知ったのは2005年。その4年前に肺ガンでこの世を去っていた。
寂しい晩年だったみたいで、切ない。
もともと寡作な人が出版社から距離を置いてしまい、肉体労働で食っていたとか。

何がどうなるとそんなことになっちまうんだろう…。

住んでいた鎌倉(だったか)で「トラブル」があり、郷里の広島へ帰ったらしい。
どんなトラブルだったのかは知らない。でもそれがなければ、違った晩年を過ごしていたかも、と思ったりもする。

2005年当時、エンターブレインという出版社から、生前の作品が何点か復刻された。「青い空…」は8話しか収録されてない「セレクト版」。ファンの声に応え、すぐ「完全版」が文庫で出た。しかしオイラはこれを買い逃してる(ダメだろ‼︎)。

とても胸を張って「ファンです」なんて言えないけど、あすなひろし、好きなんですよ。

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どこへしまったか分からないけど、他にもまだ少しあります。あすなひろし。

あすなひろしの魅力は、その突き抜けた画力とリリカルさ、だと思う。少女漫画出身なのも本人のその抒情性ゆえかな、なんてオイラごときがゴタクを並べるのは身の程知らずなのでやめにして。
糸井重里がこう表した。「真っ昼間の悲しさ」。
さすがだな〜。

あすなひろしは晩年、別名義で本人の「指向」にかかわる作品を描いていた、とされている。
別名義で唯一の単行本とされるものを、5年前に買って読んだ。
絵のタッチ、コマ運び、挿入されるギャグに、オイラにも本人作だと思えた。
この作品集も既に絶版で、現在Amazonでは定価の20倍の価格で中古が出てたりしてる。うぅむ。

他方、死後、あすなひろしの作品を管理しネット上のサイト等を運営してる人たちや本人の実姉は、「別名義作品」やそれを生み出したとされる「指向」には一切触れないようである。
かつて本人と親交のあったらしい女性編集者のブログ(というか、あすなひろしを偲ぶエッセイのような文章)も、ネットから消えた。
本人の「指向」にかかる記述があったからかな、と勘ぐったりする。

本人はどうしたかったんだろう。明らかにするつもりはあったのか、否か。

もう訊ねることもできませんけど。