ディベートというものは昔から聞いていたし、実際に行ったこともある。それはとても面白いものであったし、熱くなれるものであった。しかし、それ自体あまり社会全体として盛り上がるものではなかったかのように感じていた。
ある時ツイッターを見ていたときにディベートの大会などを主催する人として著者を知り、著者の発言にはとても納得できるものが多かったので、本書が出る、と聞いた時はすぐに本書を読むこととした。
そして、私は私がこれからの時代を生きていくために必要となる力をつけるための5つのポイントを見つけるため本書を読了した。
1つ目は、「「知識・判断・行動」の3つをつなげて考える」というものだ。
何かを学ぶときにはただそれを頭に叩き込むだけでは意味はない、そんなことを言わんとしているのだろう。著者は実学の世界では知識だけを持っていても、それだけでは意味がなく、その知識をもとに判断することができなければ意味がないとする。そしてさらに、判断できたとしてもそれが具体的な行動に落とし込むことができなければ、その判断も意味はないと説明している。ここで言われていることはすごく当たり前のことだと思うが、ついつい忘れてしまいがちなものであり、ここを読んだときには頭が殴られたような感覚になった。
2つ目は、「これからの時代における最大のリスクは、「変化に対応できないこと」」というものだ。
これは読んで字のごとくであり、変化に対応できない人間が一番危ないという。そして、その変化にいかに対応できるようになるか、その判断力や決断力を身につけることが大切であるとし、本書のガイダンスとして、本論へとつながっていく。
たしかに、もはや私たちの生きている時代は、私の親やバブル世代の人間が考えていたような甘っちょろいものにはとてもなってくれそうにない。そんな激変が避けられない時代を生きていかなければならない私が支えにしていくのは、そんな連中の訓示ではなく、自分自身が必死に考え抜いた判断・決断なのだと思う。そして、そのために本書を通じていかによりベターな判断決断をしていくかのスキルを身につけるべきなのだと思われる。
3つ目は、「「準備と根拠」がディベートの鍵を握る」というものだ。
ディベートの解説などを行う中で、ディベートで大切なことは「準備」であると断言する。そして、双方の立場で準備して、それぞれの弱点を研究しつつ、それを補強するようにすることがとくに重要であるとする。
4つ目は、「やるか、やらないか、それが問題だ」というものだ。
ディベートの議題としてどのような決め方が望ましいのかについて紹介しており、よいディベートにするためにはどのような議題を設定するかをここでは紹介している。そして、具体的には、「二者択一になるくらい具体的なものを選ぶ、議論に値するものを選ぶ、明確に結論が出るものを選ぶ」というものが望ましいとし、「具体的な行動をとるか、否か(例:大学院に進むべきか、否か、等)」というものがもっとも適切だとする。
ここでは、ディベートの説明という風にしているが、これは一人で考えをまとめるときにもどのようにして考えるかの参考になると思われる。
5つ目は「メリット・デメリット、その考え方と批判について」というものだ。
一つの考え方についてそのメリット、そしてデメリットをそれぞれ考えるときに「なんとなく」では説得力が弱い。そうならないためにはしっかりと筋道立てて話す必要がある。その手法をここでは紹介している。
メリットについては「内因性(なんらかの問題があること)・重要性(その問題が重要であること)・解決性(問題がその行動により解決すること)」という3つのポイントで考えるとしている。あるメリットを紹介するときには、それをこの3つのポイントを踏まえて説明するとする。(例:運動不足で太り始めている(内因)。太ると様々な病気になるリスクがある(重要)。スポーツクラブに入れば痩せるので安心(解決))←かなり雑な例を作ってみた。
そして、反対にデメリットについては「発生過程(論題の行動をとった時に新たな問題が生じる過程)・深刻性(その問題が深刻であること)・固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと)」という3つのポイントで考えるべきとし、あるテーマに反対するときはこのポイントを踏まえて説明するとある。(例:スポーツクラブに通うとかなりの出費となる(発生過程)。食費が不足し、栄養状態が悪くなり風邪をひきやすくなる(深刻性)。太り始めてはいるけれど具体的に困ってはいない(固有性))←またもやひどい例を作った。
本書では、何かを考えるときに求められる考え方、プロセスを実に丁寧に解説している。そして、それは非常に実践的で分かりやすく、効果が高い。これまでに様々なロジカルシンキングの書籍を読んできたが、本書ほど分かりやすく、実践的なものは初めてである。基本的だが本質的な内容が惜しみなく紹介されており、ぜひとも本書は読むべき必読の書である。読んで損は絶対にない1冊である。
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