仕事を進めるにあたって、説明をしなければならない場面に出くわすという人は多いだろう。しかし、いざ説明するとなると、意外にうまく伝わらずやきもきし、相手をいら立たせたり、困らせてしまうことがある。でも、自分の頭の中ではよく分かっているだけに逆に何と言っていいか分からず、ますます困惑する・・・、そんなことを避けるために本書を読んでみた。
そのため、私は「私が仕事で分かりやすい説明をするための7つのポイント」を探しながら本書を読了した。
1つ目は、「余分なことばかりの説明になってしまう理由」だ。ここでは、上司に得意先企業の経営状態を尋ねられている部下が、どうでもいいことばかりを話しているという事例を紹介しながら(ここまで間抜けな従業員もいないと思うが)、「なぜ余計なことを話してしまうか」ということを紹介している。その主な理由は以下の6つの理由だという。
l 自分が理解しているのだから、内容を整理して話さなくても、相手に理解してもらえると思っている
l 話すことに変な自信があるので、その場で何とかなると思い、事前の準備をしていない
l そもそも明確な説明のイメージを持って、望もうとしていないので、その場で、頭に浮かんできたことを話し、行き当たりばったりの対応をしている
l 「これだけは話さなければ」「この部分を理解してもらわなければ」等というような説明のポイントをつかんでいない
l どのような説明をすれば、相手が理解してくれるのか、効果的なのかを考えていない
l 自分のことしか考えず、相手のことを考えていないために、相手がどう思っているのか、感じているのかに対する感受性が鈍い
2つ目は、「目的がはっきりしていれば、集中力が高まる」というものだ。ここでは著者自身の海外旅行でのエピソードを紹介した上で、説明にはそもそもなにがしかの目的があるのでそれを明確に意識すべきだと説く。
そこで、本書では具体的に4つのポイントを押さえるべきだと説明する。
l 説明の相手はだれかをつかむ
l 何を伝えなければならないのかを整理しておく
l どのように説明するのか構想を練っておく
l その結果として何を期待するのか、説得目標を決めておく
3つ目は、「多くの時間を割く「本論」が説明の命」というものだ。
ここでは、クレーム報告の事例を挙げ、説明の中心を占める「本論」はさらに4つの構成要素があると説く。それは、「主題」「中題」「小題」「支援文」というものであり、先に「何が言いたいか」である「主題」を冒頭に説明した上で、中題、小題等で補足説明をする形がよいとする。
4つ目は、「7つの説明展開法」というものだ。説明をするときには主に進め方として主に7つのパターンがあり、それぞれを適した使い方をすべきと説明する。7つのパターンの概要は以下の通り。
l 時系列的説明法:事柄の起こった時間的な順序に従って、話を進める
l 比較的説明法:説明する事柄を他の事柄と比較しながら、話を進める
l 段階的説明法:低から高、小から大というように、段階的に話を進める
l 因果関連的説明法:原因→結果、結果→原因、というように、話を進める
l 演繹的説明法:一般論を話した後に、特定のケースを話す
l 帰納的説明法:特定のケースを話した後に、一般論を話す
l 弁証法的説明法:正→反→合と相反するものに解を与えながら、話を進める
5つ目は、「説明の中に数字を使うときのポイント」というものだ。
l 基本的にはアバウトな数字で構わない
l ポイントとなる数字は正確に覚えておく
l 比較する数字があると生きてくる
l 有名なものを基準にして比べると効果を増す
l やたら数字を使わずに、ポイントで使う
l 数字は明瞭な口調でゆっくりという
l 大事な数字は繰り返して言う
6つ目は、「相手をうんざりさせたり、反論を招きやすい説明とは」というものだ。ここでは、どういう説明をする人が相手から反感を買うかというものを説明している。これについても具体的に挙げられている。
l 相手の時間、気分、好みの言葉など、耳を傾けさせるムード作りを全く考えていない
l 相手のことを考えず、自分の一方的なペースで話を進める
l 話のポイントがずれていたり、内容が支離滅裂だったり、時間が長かったりで相手をいらいらさせる
l 明らかに間違いだったり、思い付きだったりで、論理的な話になっていない
l 具体例やデータの入っていない、抽象的な話になっている
l 話の中にたとえを使わなかったり、使ってもピント外れだったりする
l 相手の理性と情緒に訴えていない
l そもそも人として信頼されていない
7つ目は、「ここ1番の説明前に行うイメージトレーニング法」というものだ。
ここでは具体的に著者が実際に行なっているという方法を紹介し、事前の準備の必要性を説く。
本書全体を通じていえることは、ここで紹介されているものは目新しいものは特にはなく、ごくごく基本的なものがほとんどであるということだ。いかんせん説明は、下手だろうと何だろうと誰にでも出来てしまうものだからついついそのスキル向上は後回しになってしまうことがある。目的を明確にする、話の構成をしっかりする、事前の練習をしっかりする・・・、どれも言ってみれば「あたりまえ」のものばかりだ。しかし、その当たり前のことだからこそ疎かにしてしまう。そのことを明確に気付かせてくれるのが本書であり、いまひとつ説明がいまいちだなと感じている人はぜひ本書を手に取り、本書に記載されていることを愚直に行ってみるとよいだろう。