上司とのそりが合わない、そんな人はいくらでもいるであろう。それはあたりまえだと思う。年齢が違う、育ってきた環境も違う、そんな中で合う方が珍しい。プライベートであれば、そんな人とは関わる必要はないが、仕事であればそうはいかない。合わせる必要もあれば、そもそもの考え方も違う人間を説得する必要まで出てくる。そのようにして無理に気を遣い心身ともに摩耗していく。そんな風に感じている人はきっと多いに違いない。

 私は、私が仕事中に周囲の人たちと心を落ち着けて仕事をするための4つのポイントを見つけるため本書を読了した。

 1つ目は、「心を開く非指示的な聞き方」というものだ。

 「相手の話を確認しながら聞く」ということの重要性をここでは紹介し、聞き手が自分の持っていきたい方向に無理に持っていくのではなく、相手の発言・意見を整理して、それを鏡のように返してあげることで話を進めていくという手法を紹介している。

 聴き方、は多くのセミナー・本などで紹介されているポイントの一つだが、意外とこれができていない人が多い。自分もできているとは言えないが、周りはさらにひどく壊滅的な状況になっている。まず話を遮る、のは当たり前。そのため、話の遮りあいになっており、話の内容がよく分からなくなる。または、人の意見の後に発言し、何か確認のための発言かと思えば、冒頭で「なるほどね、ただね・・・、」と、ただそこからは持論を延々と述べるだけ・・・、正直話し合いの体をなしていない会議が多いことに改めて気がつく。ここで紹介されていることは大切ではあるが、これは一歩間違うと、持論大好きちゃんに囲まれた場合、持論講演会に行くのを避けられないのではないかという懸念がある。

 2つ目は、「非指示的な聞き方の種類と技術」というものだ。

 まさに1つ目で「非指示的な聞き方」について紹介されており、そこではそれについての概念的な紹介だけであったが、ここではその具体的な方法について紹介している。

 非指示的な聞き方には、「アクティブな聞き方」「パッシブな聞き方」の2つに分かれる、とされている。

 そして、それぞれには聞き方があるとし、アクティブな聞き方には

繰り返す

まとめる

心を汲む(相手の気持ちをくみ取り、自分なりの言葉で言い換える)

という3つのステップを踏む必要があるとする。

 また、パッシブな聞き方には、「沈黙」「あいづち」「相手の気持ちを理解しようとしている気持ちを伝える言葉を発する」等の方法があるとする。

 3つ目は、「エンプティーチェアー」というものだ。

 これはカウンセリングの手法の一つとして紹介されている。具体的な方法としては、

2つのイスを向い合せに用意する

誰も向かっていない椅子に向かい「特定の誰か」についての不満・意見を語る

言いたいことを言いきったら、向かいのイスに座る

今度はその「特定の誰か」になりきり、「自分」がその「特定の誰か」からどう映るかを語る

というものだ。

これを行ううちに、相手の立場やイメージが理解できるようになってくるという。

 これは実際に自分もやってみたことがあるが、確かにある程度は効果がみられた。確かに多少自分にも非はあったのかもしれないという気持ちになり、多少相手への配慮も生まれたように思える。ただ、ここでは相手の立場になるということが逆に相手の欠点を浮き彫りにしてしまうことが時折あり、相手への不信感をより高める結果になることがあった(本来ならば自分自身がやらなければならないことを押しつけていることがその立場に立つことで再確認されてしまう等)。

 4つ目は、「救助の自己開示メッセージ」というものだ。

 これは、相手が失敗をしたときに、どのように対応するかというものだが、何か相手が「失敗」をしたときには、その非を責め立てるのではなく、「最初に生じた感情をそのまま伝え」、それから自分が置かれた「困った状況」を伝え、「救助(助けてほしい)」の気持ちを伝えるということこそが、相手のためそして自分のためには大切なのだと説く。

 つい、相手が失敗をしたときには怒りにかまけて爆発した思いをぶちまけてしまいそうになるが、それにより自分も困っているのでリカバーして欲しい、と伝える方が大切だ、ということが分かる。

 本書は基本的なことを紹介しているのだろうと思われ、ここで紹介されていることの多くはどの業種、職種に関わらず活用が可能であると思われる。そしてどれも実行することは難しいものではないので何か行き詰った時にはできるものから試してみるとよいのではないだろうか。本書を読んだ感想としては、自分の周りには相手の話を聞かない、相手の気持ちにすり寄ろうとしない独りよがりな奴しかいない、ということがより明らかにされてしまった、ということだろうか・・・・。

 今の仕事には満足している。職場ではなく、仕事にだ。つまり、職場には満足していない。満足したらお終いなのかもしれないが、今の職場では決して満足することは無いであろう。何しろ考え方が違いすぎる。だが、繰り返すが仕事には満足しているので、決して配置転換など受け入れたくは無い。私のキャリアは私が決める。企業は私の人生に責任を持つわけではない。

 このような我を通すためには何が必要か、そう考えたときには実力だと考えた。決して配置転換させられないようなレベルに到達してしまえば組織も手放すことはできない。また、仮にそうしたとしても私が今の職場を変えればよいだけのこと。そのように、私の人生は私が操る。

 私が、私の人生を自分で決断できるようになるだけの力をつけるために学ぶための5つのポイントを探すために本書を読了した。

 1つ目は、「30分あったら最寄りの書店へ足を運べ」というものだ。

書店には、その時々の流行に応じたラインナップがなされており、情報収集するのに適しており、たとえ必ずしもお目当てのものがなくとも足を運ぶ価値はあるとする。そして本書では具体的には、「新刊本コーナーを覗く」→「雑誌の表紙を眺める」→「新書の棚をチェックする」→「興味のある分野へ」という回り方が一番効果的であると紹介する。

 2つ目は、「重要度の高い3ページを押さえる」というものだ。

これは、新聞の読み方について紹介しているものだ。新聞と言うと「社会人は日経」等と言われたり、毎日読むことがまるで義務みたいに言われている。かくいう自分もその言葉に流されて、よく分からないままに日経を読んでいた時期があった。しかし、最近は新聞という媒体自体に対する疑問、日経の考え方に賛同しかねることばかりであるため、読むと不快になるため、読むのをやめている。まぁ、個人的にはそれでもいいのだが、一応社会人ということもあるので、最低限は話を合わせるために読むしかないとは思っている。そこで、必要最低限であり、かつそれなりに効果のある読み方として次の方法が紹介されている。「第一面を読む」→「第三面記事(一面記事の詳細が掲載されている)」→「最終ページの裏」というものだ。なお、これでもさらに余裕があるようであれば「奇数ページの見出しを読む」ということもお薦めしている。

 3つ目は、「複雑な情報はまずは図解化してみる」というものだ。

これは読んで字のごとく、複雑なものはまずは単語と単語を線で結ぶ程度でもいいので図にて記載する必要があると紹介されている。

 4つ目は、「疑問に思ったことはすぐに書き出す」というものだ。

これは、思考力を高めるために求められるポイントとして紹介されており、仕事に関わらず、プライベートなことでもなんでも構わないので、とにかく疑問に浮かんだことは書き出し、解決策を考え、分からなければ調べるようにすべし、と紹介している。

 5つ目は、「質問に一言で説明できるレベルまで理解する」というものだ。

これは自分にとってはすごく効果的で、色々なものについてこのように考えるようにしており、活用させてもらっている。勉強するとその時はすごく分かったような気になってしまうが実はそれは単に「分かっているつもりになっている」場合がすごく多いとする。そのため、ここでは、「「要するに」「つまり」と意識的に思考整理の時間を設ける」「質問されたら質問内容を主語にして答える」というものだ。すごくシンプルだが、このように考える癖ができると頭の中が整理されていくのではないだろうか。

 このように改めてではあるが、勉強法について学んでみたが非常にシンプルで使いやすいものが多く、自分には参考となった内容であった。

 学生時代、宮台真司の本を貪るように読んでいた。宮台の著作、そしてそこで紹介される著作は必ず読むようにしていた。大学生活では学部の講義に充てた時間よりも宮台の著作を読む時間に充てた時間の方がはるかに上回っていた気がする。

 しかし、自分も働くようになると少しずつ宮台の著作からは離れていく機会が増えていった。宮台の考え方に反発したわけではなく、単純にそれ以外の知識をつけようとしていただけである。

 そんな中、彼が次の時代を担うであろう中学生に向けての著作が発表していたのを知り、改めて彼の考え方を確認する意味で再読してみた。

 私が、私が社会学の勉強をするために必要な7つのポイントを探すために本書を読了した。

 1つ目は、「尊厳と承認のメカニズム」というものだ。

 宮台は数多くの一般向けの書籍でもこの尊厳・承認というキーワードを利用していたが、実はこれがなかなか分かりにくいものであった。しかし、本書ではこの2つの概念および関係を分かりやすく説明している。

 つまり、自分がたとえうまくいかなくても必要以上にみじめにならず、たとえそうであっても自分は自分なのだ、決して生きている価値の無い人間ではないのだ、と自分で自分をそう思えることが「尊厳」であるとする。そして、その尊厳が確立するためには何が必要かというと、他者から「承認」してもらう必要がある。

 他者から自分を承認してもらう、そしてそのことにより自分自身の尊厳を確認し、自己の尊厳を確立していくこれこそが、尊厳であり承認である、と説明する。

 2つ目は、「人を殺してはいけない理由」というものだ。

 私自身は、いわゆる酒鬼薔薇事件が起こった時期にちょうど中学校にあがっており、学校では命の尊さ教育を受けた世代である。当時を思い返してみれば、教員は人を殺してはいけない、ということは繰り返し説明するものの、「ではなぜだめか?」ということを真剣に説明しようとした教員はいなかった。単に周りが悲しむ、自分が傷つく等の言葉は悪いが薄っぺらい理由づけで説明していたにすぎなかった。

 そのため、当時の私は「人を殺さないのは、殺せないのではなく、仮にその人間を殺した時に得られるメリットとそれによるデメリットを比較したときに後者の方が大きい。だから殺さない。」という程度の考えしかなかった。だから、仮に当時激烈ないじめなどに遭っており、加害者が消えることがすべてだという認識に至り、そのバランスが崩れた場合、どうなっていたかはいまだに分からない。

 しかし、本書ではなぜ人を殺してはいけないのかということを、尊厳と承認の関係性の中で説明している。

 自分自身が「尊厳」を獲得する過程には他者の「承認」が必要不可欠となる。自分自身を確立するために必須となる「尊厳」を獲得するためには他者が必要不可欠となる。そのような他者を殺すということは自身の尊厳の獲得の機会を失わせることとなり、許されるものではない、という理論で説明している。

 

 3つ目は、「期待水準と願望水準」というものだ。

 これは今の若者の恋愛観を解説する際に出てきた考え方についてだが、

「期待水準」とは、現実に何が期待できるのか、というものであり、

「願望水準」とは、自分が心の奥底で何を望んでいるのか、というものである。

 詳しくは本書によるが、これら2つの関係が一人一人の恋愛に対する心構えを変えることになる、と説明する。

 4つ目は、「労働に生きがいがプラスされた」というものだ。

 「自己実現」という言葉が就職活動の中ではやり始めた。そして多くの若者がこの言葉に踊らされ、企業に入り、「本当の自分」を見つけるため離職したり、転職したりすることが増えていった。そして、企業もこの言葉を巧みに使い、自己実現の名のもとに各人を酷使し、夢を見させてきた。

 ようやく、少しずつだがこの自己実現なる言葉が爆発的に流行した時期を過ぎ冷静さを取り戻しつつあるが、ここでも宮台は仕事について次のように断言する。

「仕事をする人に生きがいを与えるために仕事があるんじゃない。社会が必要とするから、仕事をしてもらわないと困る人々がいるから、仕事がある」と。

 5つ目は、「仕事で自己実現の考えを捨てろ」というものだ。

 これも4つ目と関連するが、これは大学で教鞭をとる宮台が実際に学生に向けて伝える内容とのことだが、「自己実現できる仕事があるなんて思うな。そんなのを持ってもがっかりするだけ」「これさえあれば自分は十分だ、という考え方をせよ。何があれば幸せか、そのためにはどんな生活ができればいいかをはっきりさせ、必要なお金と時間をはっきりさせよ。」とある。さらには会社は儲けるためにある、慈善事業ではない、とはっきりと断言する。

 一時期、勝ち組、負け組という言葉がはやり、自分は当時の基準でいえば「負け組」の企業に入った方だと思っていた。しかし、それでも今は状況的には厳しいのかもしれないがそれなりに楽しくやれている。上を見ればきりがないし、じゃあ自分はビジネスで成功することを本気で望んでいるかというと、実は全くそうではなかった。もう少し、ゆとりのある生活はしたいという希望はあるが、今のままであればさほど不満は持っていない。このような考えに至っていた自分の状況を「何があれば幸せかはっきりせよ」という言葉で追認してもらった?ように感じられ、これを機にすごく楽になったように感じた。

 6つ目は「人間には高い期待を持つべき」というものだ。

 ここでは恋愛関係以外の友人・知人関係の在り方を紹介し、どのような人間関係を気付くことが大切かを紹介する。ここでもあくまで「仕事は仕事と割り切り、願望水準に基づいた人間関係を作り、それを自分自身のホームベースにしていくべき。そうすれば仕事がかったるくても何とかなる」としている。

 7つ目は、「人間関係の前提の考え方について」というものだ。

 多くの人は友人を作る時に、この人は優しそう、しっかりしていそう等といったものを参考にしていく。しかし、それはあくまで「通常時」の顔であり、「非常事態」等のときはどうなるか分からない。だからこそ早々に判断しない、とする。

 そして、人間関係を作り上げていく上では、「相手に裏切られることを想定した上で相手と付き合うようにする。そうすることでいざという時に裏切られても、それは想定されたことであるから傷つくことなくまた、次へ進める」ということを紹介する。

 本書は、全体として、これまでの宮台の考え方のベースを平たく、分かりやすく解説しており、これまで宮台の書籍を読んでいたがいまいちピンとこなかったという人にもお勧めできる内容となっている。

 また、本書はあくまで中学生向けには書かれているが、本書は大人にこそ読んでもらう方が良いのではないかと思う。

 なんだか、生きづらい、窮屈に感じる人にはぜひ一読してもらいたい良書である。