カントが深い思索の末に見つけた結論は、「我が頭上の星空と我が内なる道徳律」という。道徳律は、自分の内側にある理性である。人を殺してはいけない、その理由を説明するのは難しいが、「我が内なる道徳律」から要求される、というのがカントが実践理性と呼ぶものである。この理性は、個人の心に宿りながらも個人を超えた精神、知性を持った原理とされる。ここで、外部=星空、内部=実践理性と見えるが、実は、内部と外部は同じもので、神、いのちと言い換えて良いと思う。この内と外が反転することは、不可思議といえなくもない。ドイツ観念論は、内なる声=実践理性を見い出し、哲学の到達した人類の叡智といえると思う。