池田晶子さんの残酷人生論。
 自分とは何か、存在とは何か、謎はそれに尽きるという。解答は次の通り。
「私は唯一である。そして私は、この人間である。ところで死は存在しない。したがって魂は存在し続ける」
 文字通りであると、その意味を理解した時の衝撃を忘れることはできない。補足すると、我々は、思考、感情、身体を見つめることができるが、その見ている存在が真の自己の意識であり、時間は無いため、宇宙のはじまりのビックバンの時もその意識、その時から自己は在る、となる。
 ソクラテスが啓示を受けたデルフォイの神託は、「汝自身を知れ」と問いかけ、道元禅師も仏道とは自己を習うこと、という。仏道では、空と無我となるが、池田さんは哲学から存在と時間の謎を解く。最後は、自分が居て宇宙が在るということは、なんと不思議で神秘か、自分がこの人間であり、為すべきことを為して幸福である、となる。全く、荘子の無為自然であり、考えて到達する地点は同じであり、その系譜に連なっているのではと思う。そして、善悪、幸福、魂を論じ、見事な人生論となっている。「14才からの哲学」、「41才の哲学」もお勧め。