イトウやアカメは「幻の魚」と言われる。また、「日本三大怪魚」「日本産淡水魚界のビッグスリー」とも言われる。しかし、この中で「日本三大怪魚」「日本産淡水魚のビッグスリー」の一つであるビワコオオナマズは「幻」とは言われない。さらにイトウとアカメには最大で2mになるという2m説がよく聞かれるがビワコオオナマズにはそれも聞かれない。現在イトウは最大で1.3mほどでアカメは最大で1.3~1.4mであるのに対しビワコオオナマズは最大で1.2~1.3mほどであるが、では平均的な大きさはどうかというと、あくまで釣りの視点からではあるがイトウでは50~60㎝ほどだと思われる。そしてアカメは50㎝ほどのようだ。ちなみに日本で初めてアカメの人工飼育に成功した高知県の桂浜水族館によれば漁で獲れるアカメは普通大きくても80㎝ほどだという。ではビワコオオナマズはどうかというと滋賀県立琵琶湖博物館によれば漁で獲れる平均サイズ80~100㎝で、釣りにおいては80~90㎝ほどのようである。イトウにはその昔2.1mの捕獲話がありアカメも2.1mの捕獲話があるがビワコオオナマズには江戸時代に彦根藩士・小林義兄氏による文献「湖魚考」によれば大きさ2.7m重さ64kgの大ナマズが獲れたとされる。これがビワコオオナマズだったかどうかは不明ではあるが(ビワコオオナマズと命名されたのは1961年)、事実であればその大きさから明らかにビワコオオナマズであったと思われる。これ以外では沖島漁業協同組合の方によれば昔は1.8mの大きさのものが普通に捕れたという話や日本淡水魚愛護会の西村氏によれば聞き込み調査の中で得た情報では最大153㎝23㎏という例があったという。イトウやアカメに負けず劣らずの巨大怪魚の逸話がビワコオオナマズにもあるのだ。しかし、その日本産淡水魚としての異例の大きさにも関わらずビワコオオナマズには「幻」という言葉は聞かれない。琵琶湖固有種であり琵琶湖とその流出河川のみでしか日本国内では見られず、したがって多くの釣り人にとってはまさに「幻」と言っても過言ではないはずなのに。そして注目したいのは、その巨大さと希少価値以外に、このビワコオオナマズがイトウやアカメより釣るのが難しいと言う釣り人がいることだ。怪魚ハンター山根央之氏や怪魚釣りの第一人者鵜山和洋氏はイトウやアカメよりビワコオオナマズを釣る方が難しいというのだ。彼らは当然釣りの腕は一流であり知識も経験も豊富でこれまで数多くの怪魚、巨大魚を釣ってきた一流釣り師である。ただし、これもただその魚を釣ることが難しいのか?それともメーターを釣るのが難しいのかによるものかもしれない。その昔テレビ東京制作「ザ・フィッシング」という釣り番組でビワコオオナマズ釣りを取り上げていたが、番組の中で故西山徹氏と村越正海氏があまりにも容易に釣り上げていて両氏とも以外に容易に釣れたことに驚いていたが、事前に地元で情報収集を得て確実に釣れる場所でのことだったようだが、これはあくまでも例外で普通は一筋縄ではいかないのかもしれない。怪魚ハンター武石憲武氏も最初の釣行はギギ一匹で終わったという。もしかしたら琵琶湖の主は幻(イトウ、アカメ)より釣るのが難しいのかもしれない。

 

ビワコオオナマズ

最大で1.2~1.3mになるが日本淡水魚愛護会の西村氏によれば聞き込み調査の中で得た情報では最大153㎝23㎏の例があったという。これが事実であればイトウやアカメ以上の日本産淡水魚中最大級の巨大淡水魚であり大型個体はビワマス、ゲンゴロウブナなどの他にブルーギルや40㎝クラスのオオクチバスやニゴイなども捕食する。まさに琵琶湖最強の魚である。