今回はウナギの大物について考える(大袈裟かも・笑)。ご存じのように国内にはニホンウナギとオオウナギが生息する。オオウナギは名前の通りニホンウナギよりずっと大きくなりメーターは珍しくない。最大で2mになり国内に生息する淡水魚では最長だ。一方ニホンウナギは普通50㎝ほどであるが稀にメーターになる。昨年島根県の来島ダムで全長1.1m重さ2.9㎏の大物が獲れて話題になり国内のウナギの最大級の大きさでは?と話題になったが、実は他県でも稀にメーターが獲れることがあるのだ。「霞ヶ浦の系譜」によれば

1994年10月 ウナギ大きさ120㎝胴回り24㎝重さ3.5㎏

1994年11月 ウナギ大きさ126㎝胴回り30㎝重さ4.5㎏

が獲れた記録がある。

また琵琶湖レコードは全長130㎝重さ3.5㎏だという。つまり1mという大きさのウナギは確かに大きいことは大きいがこれが最大記録にはならないのだ。またもう一つの問題がこれが天然物か?放流物か?ということだ。ご存じかもしれないがウナギは天然水域でシラスウナギを獲り、それから成長させた幼魚を放流するのが一般的だ。茨城県牛久沼のそばを通る国道沿いにはウナギ料理店が並びウナギ料理は名物だが、ここで出されるウナギは天然物ではない。牛久沼では流出部に堰があり天然ウナギの遡上は事実上なく幼魚を放流しているのだ。したがって料理に出すほど捕れないのだ(店で出されるほとんどが浜名湖産などの養殖物)。琵琶湖博物館によれば琵琶湖も下流に天ケ瀬ダムがあり天然物はいないだろう?とのことであった。しかし天然水域で獲ったシラスウナギから育った幼魚を再び放流することはあくまで天然物と呼べなくもない。しかし海から天然水域に遡上して成長する完全天然物個体自体が国内では少なく(捕れたシラスウナギが養殖にまわされるため)、さらには当然メーターになる完全天然個体はさらに少ないと言わざるを得ない。近年日本以外の近隣の国々の乱獲もあり激減しておりニホンウナギは環境省によって絶滅危惧種に指定されるまでになった。公共機関により卵から成魚にまで成長させることに成功した例があるが、この完全養殖個体を市場に出すまでにはまだ時間がかかりそうだ。まだ成魚にまでさせる個体数が少ないことが最大の理由だ。この完全養殖個体今市場に出す場合一匹100万円だという。これからこのコストを下げて市場に出すにはまだまだ先になりそうだ。以前このブログで述べたがコイはあくまで天然個体は天然個体(野鯉)で養殖個体は養殖個体(大和鯉)だがウナギも養殖ウナギの体色は背側が青みがかった黒色、場合によっては銀色とも表現できる色で、腹側は白色で、一方、天然ウナギは背側が緑色~黒色、腹側が黄色味を帯びているといった違いがあるという。しかし放流され成長した個体と完全天然個体ではおそらく違いはまずないのではないかと思う。ウナギはもっぱら漁において捕られている魚であり釣りというのは少数派だが、これも以前このブログで述べたがルアーでも釣れるのだ。狙う人はまずいないだろうが。そして日本三大怪魚やコイやオオウナギやニホンナマズと並び日本産淡水魚の中で数少ないメーターの大きさになる淡水魚なのだ。さらにウナギはその生命力の高さにも驚かされる。エラ呼吸以外に皮膚呼吸も出来るため水から出しても水がある場所を求め移動できるのだ。そのため河川に入ってきた個体は河川とは直接繋がってもいない周辺の池などにも入ってくることもある。さらに段差のある堰もそのヘビのような体を上手く使い少しでも体を掛けるような障害物等がある場合それらの場所にヘビのように体を掛けて超えていく。海外ではナイアガラの滝を超えていった例があるというから驚きだ。食性は完全な肉食であり日本ではニホンナマズと並び平地及び国内で広く見られる数少ない日本産大型肉食淡水魚(50㎝以上になる肉食淡水魚)。研究ではバスやギルの卵を捕食するという報告がありウナギ同様バスの卵を捕食するウグイやバスやギルの幼魚及び若魚を捕食するニホンナマズと共に日本の淡水域の救世主といえる一面もある。最後にメーターのニホンウナギを見たことがあるか?というと残念ながら今だない。私の釣りのホームグランドではだいぶ前に全長114㎝重さ24㎏のコイが獲れて新聞にも載ったというがウナギの方は以前釣りをしていたら漁から帰ってきた漁師と会ったのだが船の中を覗くと立派なウナギの大物が。それでも80㎝ぐらいではなかったかと思う。それでもこの大きさがこんなドブ川にいるとはと感心した。その高齢の漁師も「上を通る人(川の上を通る橋を車で走る人たち)もこんなのがいるとは思っていめー」と言っていた。話を聞いた当時30ヵ所ほど仕掛けると5匹ぐらい今も捕れるとのことだったが今はどうなっているだろうか?。ちなみにその時の漁の成果はウナギの大物一匹と他はチビアメリカナマズ3匹ほどだった。今はアメリカナマズだけになっているのだろうか?(笑)。

 

ウナギの大物

オオウナギでメーターは珍しくないがニホンウナギのメーターとなると新聞にも出るほど珍しい。

オオウナギ(水族館展示水槽)

日本産淡水魚で最長になりメーターも珍しくない。