どんな世界にも専門家という人たちがいる。そういった人たちでないと分からないことが多い。しかし、こういった人たちにも限界がある。例えば日本全国の動植物の生息を把握することはいかに専門家でも無理だ。地方には自然博物館もあり地元の動植物に関する研究・調査もしてはいるが、それでも全ての動植物の生息の把握は難しい。私は以前地元自然博物館にハラビロカマキリについて問い合わせしたことがある。内容はハラビロカマキリには緑色個体と茶色個体がいるがメスでは緑色個体も茶色個体も見たことがあるがオスで緑色個体はあるが茶色個体は見たことがなくオスで茶色個体はいるのかという内容だった。これに対し自然博物館からの回答は県内にカマキリの専門の研究者がおらず正確なことは分からないということと回答者の学芸員の方はハラビロカマキリの茶色個体がいることを初めて知りましたと。元々ハラビロカマキリのオス自体がなかなか見つけるのが難しく私もこれまで三度しか見たことがないのだ。昆虫写真家の海野和男氏によればハラビロカマキリはメスにオスが捕食されることが多く、それがオスの個体をあまり見かけない理由だろうと言っていた。また、以前NHKの「ダーウィンが来た」でイシガメを取り上げていたが番組の中で国内のイシガメの生息域の地図が出ていたのだが、それを見ると私の県は生息域に入っていないように見えたので、これも地元自然博物館に聞いてみた。知りたかったのはイシガメは私の住む県にもいることはいるのだが、それが在来種になるのか?それとも国内移入種になるのか?ということなのだ。地元博物館からの回答はこれもハラビロカマキリ同様カメの専門の研究者がいないため正確なことは回答できませんと。また、かつて霞ヶ浦にスッポンが何度も移植されたことがあるとされているのでスッポンは在来種なのかも聞いたのだが、これもイシガメ同様の回答であった。つまり県内の全ての動植物の正確な生息域や生息しているかしていないか在来種なのか?国内移入種なのか?誰も分からないということになる。ただし在来種なのか?国内移入種なのか?までは分からなくてもその生き物が何処にいるのかとなると専門家よりもマニアの人たちの方が詳しい。なぜならマニアと言われる人たちは休日祭日にもなると生き物を求めて極端な言い方をすると日本国中または住んでいる都道府県内中探し求めて行動するからだ。私の住む県内では県南ではナミゲンゴロウは絶滅していると思われているが、ある人のブログで私の住む町と隣の町の町境の湿地で偶然ではあったがナミゲンゴロウを捕獲した記事を見た。マニアの人ともなれば怪しいとか?いるかもしれない?とか思われる場所はどんな場所でも果敢に挑む(笑)。だからこそ専門家でも知らない場所で発見も出来るのだ。というか専門家でもまず行かないだろう?と思うような場所や環境にさえ行く。見方によっては映画「インディージョーンズ」の考古学者のような感じかもしれない(笑)。ただし一方ではこういったマニアや業者による希少種の過剰採取や密猟も後を絶たない面もある。さらに動植物の専門書も正確ではない?。というより生き物たちの生息環境や生息域も変わってきているというべきかもしれない。それを証拠にウグイの仲間であるマルタはほとんどの専門書ではその生息域は太平洋側では神奈川県以北、日本海側では富山県以北とされる。ところが私の知人の話ではある釣り雑誌の中でメガバスの伊東由樹氏が静岡県の某場所でマルタを釣っていたというのだ。マルタは海と繋がる大河川の下流及び河口が生息域であるため稚魚または幼魚が流されて行きついた場所で成長したとも考えられるが本来の生息地以外での生息自体も否定できない。南方系の海水魚が関東及び以北でも見られるようになっているが海水魚以外の生き物もこれまでの生息域とだいぶ変わっていきているのかもしれない。今後専門家でも知らないことが熱心なマニアなどにより発見されるかもしれない。たまにテレビで小中学生や高校生が生き物に関して新発見をしたなどというニュースになっていることもある。こういったマニアや小中学生や高校生などの研究や調査が今後の新たな発見に期待したい。特にマニアというような人は専門家顔負けの知識があり下手をすると専門家と呼ばれる人より詳しいのでは?とさえ感じる人もいる。私は釣りとリバーウォッチング、生き物観察をしているが、釣りは閉店?廃業?(苦笑)であくまで気分転換のまたは買い物ついでのチョイドライブがてらの観察なので新発見などというものとは無縁だ(笑)。上記のようにイシガメ、スッポンなどは正確なことは情報不足扱いになっているが、これ以外にもモリアオガエルも情報不足扱いになっている。関東地方でモリアオガエルが確認されていないのは私の住む県だけなのだ。県内に専門家がいないことやマニアもいないことが原因だと思われるが最大の原因は山や森が破壊し尽くされているからだと思っている。モリアオガエル以外にもサルがいないのも日本では私の県だけ。クマもシカもいない。山や森がスギ、ヒノキなどの人工林に変わり貧弱な生き物の住めない環境に変わり果てたことに尽きる。モリアオガエル、サル、シカ、クマなど山や森が豊でないと住めない生き物ばかりだ。昔はスギやヒノキの需要があったが安価な輸入材が入って来ると植林されたスギやヒノキは事実上放棄?廃棄?状態になった。選定も間引きもしない。山や森の保水能力は落ち河川の水量も減り川は埋まった。ただでさえ荒廃した国内の環境と各県では専門家の研究者がおらず研究、調査は不十分になっている。近年DNAの解析の飛躍的な進歩により魚類や両生類なども新種扱いされるものが少なくない。専門科以外のマニアや小中学生、高校生などの調査、研究が専門家でも知らない分かっていない発見がされることを願いたいものだ。

 

ハラビロカマキリ・メスの茶色個体

私の幼年期の頃も茶色個体は緑色個体より圧倒的に少なかった。さらにオスの個体はこれまで三度しか見たことがなくオスの茶色個体は見たことがない。

イシガメ(水族館展示水槽)

私の住む県では専門の研究者がおらず正確な生息域や生息数は分かっていない。また私の住む県は生息域外になっているように見えるがそれさえも正確には分かっていない。しかも、その生息域は極めて狭く私もこれまで幼年期にしか見たことがない。

スッポン(水族館展示水槽)

かつて霞ヶ浦に何度か移植された歴史があるが私の住む県では在来種なのか?移入種なのか?それと県内の生息域は?など専門の研究者がいないため情報不足扱いになっている。

マルタ

本来の生息域は太平洋側では神奈川県以北、日本海側では富山県以北とされるが某釣り雑誌でメガバスの伊東由樹氏が静岡県で釣っていたという記事があったという。

ウケクチウグイ(絶滅危惧種・フィッシュレプリカ)

現在分かっている生息地は最上川水系、信濃川水系、阿賀野川水系だが書籍「八郎潟の魚」によれば八郎潟水系でも一匹確認されたことがあるという。ウケクチウグイは降海しないとされるが中には降海する個体もいてそれが八郎潟水系に入った可能性も否定できないと同書ではしている。これが本当なら今後本来生息地とされている以外の場所で確認されることもあるかもしれない。ウケクチウグイは山形県の内水面水産試験所で飼育研究されているものの同種を国内で専門に研究・調査する人はいない(同試験所では偶然発見されたことをきっかけに飼育研究がはじまった)。そのため淡水魚マニアやガサガサ好き、またはガサガサ愛好者でもなければ本来の生息地以外での発見は難しいだろう。近年本来の生息地とされる以外の地で淡水魚マニアが発見している魚類もいる(ただし違法採取や本来の生息地で採取したものを他の地に人為的に放流をしたこということも否定できない)。ウケクチウグイやそれ以外の魚類にも同様なことがあるかもしれない。